研究課題/領域番号 |
13470291
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水野 正明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70283439)
|
研究分担者 |
宮地 茂 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00293697)
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (50220835)
吉田 純 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40158449)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
2002年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2001年度: 9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
|
キーワード | 脳疾患 / Lipo-signal / 細胞療法 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
2年間にわたる研究期間で得られた成果の概要を以下に記す。 課題1「Lipo-signal」を用いた脳腫瘍に対する新しい免疫療法の開発 (1)「Lipo-signal」を用いた脳内での全身性免疫の惹起:グリオーマ細胞抽出液と小型の正電荷リポソームと混合した「Lipo-signal」は、腫瘍特異的免疫を誘導した。メラノーマモデルでは、転移性病巣にも作用した「Lipo-signal」は脳を含む全身性免疫を効率よく誘導できることがわかった。 (2)「Lipo-signal」の樹状細胞への影響:リポソームと腫瘍抗原とを混合した「Lipo-signal」を樹状細胞に添加することで、すみやかにCD80、CD86が増強されることを確認した。また、この効果を担癌マウスでも確認した。 課題2「Lipo-signal」を用いた神経再生医療の開発 VEGF、FGF、NGF、GDNF、bcl-2とリポソームを混合し作製した「Lipo-signal」は、神経幹細胞の分化誘導を促進した。 課題3:「Lipo-signal」の投与法の検討 (1)血管から脳内への投与方法の検討:「Lipo-signal」を血管内カテーテルを介して脳血管内皮細胞に投与したが、脳への移行はほとんどなかった。リポソームにlactocerebrosideを添加することで血管から脳への移行が高まった。このことは中枢神経系への新しいdrug delivery systemの開発につながるものと思われた。 (2)細胞内シグナルの検討:「Lipo-signal」の細胞内動態を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。脂質はエンドサイトーシスで細胞内に取り込まれ、核膜近傍まで30-60分前後で到達した。その後分解されるものと、細胞分裂時の核膜消失に伴い、核内に移行し、染色体と同じ挙動をとるもののあることがわかった。さらに分裂後期の核膜形成に合わせて核外に脂質が能動的に排出される現象が確認できた。 以上のように腫瘍抗原、サイトカイン、抗体、分化誘導因子、成長因子等のシグナル伝達因子をリポソームと絡めた「Lipo-signal」は添加物の生物学的活性を高めたり、組織移行性をコントロールするなど多くの利点を持つことがわかった。本研究の成果はこの「Lipo-signal」を用いた脳神経系疾患に対する新しい治療法の開発を進める上で大いに役立つものと思われた。
|