研究課題/領域番号 |
13470321
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
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研究分担者 |
塚原 正人 山口大学, 医学部, 教授 (20136188)
伊吹 京秀 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90232587)
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
松井 智浩 山口大学, 医学部, 助手 (50314828)
岡野 こずえ 山口大学, 医学部, 講師 (50160693)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
2002年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 神経因性疼痛 / 神経可塑性 / 脊髄グルタメート神経 / 初期癌遺伝子発現 / アポトーシス / Caチャネル阻害薬 / 神経栄養因子 / 痛み / 脊髄細胞 / グルタメート神経 |
研究概要 |
末梢神経損傷に由来する神経因性疼痛の治療は極めて難治性である.最近の多くの報告や我々の研究結果から、末梢-中枢知覚神経系のシグナル変調,とくに脊髄神経可塑性の関与強く指摘されるようになった。その変調は傷害された脊髄細胞の再生・分化誘導に密接に関与することから、これらをいかに高めるかが治療の重要な課題とされている.その中、本研究では神経因性疼痛の中枢性機序における細胞分子生物学的解明を試み、また,移植や栄養因子による臨床応用可能な治療法の確立に向けた理論的基盤を得ることを目的とした。 研究期間における実験成果を包括的に述べると以下のようになる。 1)脊髄の神経可塑性の詳細な機構の再確認:(1)末梢神経損傷後、その比較的早期に脊髄グルタメートが過剰に放出されることが引き金となり、細胞応答(過敏症発現)が起きる、(2)脊髄表層細胞のc-fos蛋白誘導およびアポトーシスが発現する、(3)興奮性神経系を調節する抑制性介在ニューロンが遅発生に傷害される、(4)これらに対し、N型Ca channel阻害薬を始め、シナプス前細胞からの伝達物質放出の阻害作用を有する各種薬物が有効であること、などが分かった。 2)神経栄養因子と細胞再生:細胞外マトリックスの果たす役割に注目した。(1)脊髄髄腔内TNF-a注入や末梢4methylcatechol投与で痛覚過敏が起き、その作用はそれぞれ抗TNF-a、抗NGF投与で軽減しうること、(2)末梢神経損傷部への電磁波刺激(交感神経刺激および知覚神経細胞の賦活、分化誘導効果)が痛覚過敏を軽減し、その作用は局所抗NGF投与で軽減されること、などが判明した。 以上から、神経因性疼痛は末梢神経の損傷が外傷、感染などの誘因で起き、その後、求心性入力の持続的増加(脊髄glutamate増加)を引き金とする後角ニューロンの持続発火が起き、遺伝情報の変調も今回判明し、このような一連の生化学的反応によりもたらされることがほぼ明らかとなった。さらに、慢性期における治療では、電磁波治療や栄養因子とマクロファージ、グリアなど、細胞外マトリックスの修復過程における関与が示唆され、それを如何に適切に誘導するかさらに検討が必要である。その中、bFGFや,BDNFの安定した注入方法、神経幹細胞移植における免疫抑制、副腎髄質注入の技術的問題を改善することなど、臨床応用に向けさらに今後の課題である。
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