配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
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研究概要 |
麻酔下にラットあるいはマウスの脳を摘出し,約150μmのスライス標本を作成した.この標本を観察用チャンバーに入れ,顕微鏡で内径5-10μmの脳実質内微小血管を観察した.血管画像をCCDカメラからコンピュータに取り込み,解析ソフトで測定した. 収縮させた脳スライス標本内動脈を高炭酸ガス(PCO_2=50mmHg)に暴露すると,約20分で脳微小動脈は最大限に拡張した.この拡張は,グリベンクラミドでほぼ完全に抑制された.麻酔薬リドカインは,レブクロマカリムによる拡張反応を抑制したが,KClによる血管拡張反応には影響しなかった.これらより,炭酸ガスによる脳実質内細動脈拡張反応には,ATP感受性カリウムチャネルが重要な役割を果たすこと,また,リドカインは,ATP感受性カリウムチャネルを介する脳実質内微小血管拡張作用を抑制するが,内向き整流性カリウムチャネルによる拡張反応には影響しないことが明らかになった. 次に,内向き整流性カリウムチャネル開口薬KClによる血管拡張反応を正常血圧ラットと高血圧ラットで比較検討した.高血圧動物の脳微小動脈では,内向き整流性カリウムチャネルによる拡張反応が増強していることが明らかになった. さらに,正常(C57BL/6)および神経型一酸化窒素合成酵素遺伝子欠損(nNOS-KO)マウスの脳で,揮発性麻酔薬イソフルランによる脳血管拡張作用を観察した.イソフルランは,C57BL/6マウスでもnNOS-KOマウスでも,同様に脳実質内動脈を拡張させた.したがって,イソフルランの脳血管拡張作用には,神経型一酸化窒素合成酵素活性は関与していないものと考えられた. 以上より,脳実質内微小細動脈での血管拡張反応にカリウムチャネルは重要な役割を果たしており,麻酔薬はその機能を修飾する可能性があることが明らかとなった.また,一酸化窒素合成酵素活性は,一部の麻酔薬の作用には大きく関与しないことが推察された.
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