研究課題/領域番号 |
13470360
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80157750)
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研究分担者 |
渡邉 暢浩 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90285221)
西野 仁雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60073730)
中島 捷久 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40012778)
宮本 直哉 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (90219816)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2003年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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キーワード | 顔面神経麻痺 / Bell麻痺 / HSV-1 / 再活性化 / PCR / ベル麻痺 / 単純ヘルペスウイルス1型 / 神経障害 / 免疫操作 / ウイルス感染細胞 / ベル麻酔 / リント症候群 / 神経血流 / 神経内圧 |
研究概要 |
原因不明とされていた特発性顔面神経麻痺、いわゆるBell麻痺の主病因がヒト単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の再活性化であることが明らかになってきている。しかしながら、麻痺の発症機序や病態、治療に関しては未だ明らかでない。本研究では、Balb/cマウスの耳介にHSV-1を接種し顔面神経麻痺を発症させるBell麻痺のモデル動物を用い、麻痺発症機序と病態を組織学的および電気生理学的に検討した。また、臨床面からはBell麻痺患者の唾液からPCRによる病因ウイルスの同定や抗ウイルス剤であるアシクロピルの有用性を検討した。具体的な研究内容は1)HSV-1の顔面神経における感染と神経障害性に関する研究。2)HSV-1再活性化による顔面神経麻痺モデルの作成。3)Bell麻痺患者の唾液からPCRによる病因ウイルスの同定。4)抗ウイルス剤によるBell麻痺の治療である。本研究によりHSV-1が顔面神経の膝神経節と下行枝、顔面神経核に感染し、感染細胞が神経細胞とシュワン細胞、そしてアストロサイトであることが明らかになった。また、HSV-1による神経障害は脱髄と軸策変性の混合したものであるとこと、そして、誘発筋電図もBell麻痺症例に類似することから、Bell麻痺症例においても同様の混合性の神経障害が生じていることが示唆された。また、HSV-1初感染マウスで潜伏感染を確認した後、抗TCR抗体で細胞性免疫を抑制し、ウイルス接種部位である耳介を再度擦過することにより、麻痺を発症させることに成功した。この成果により、よりBell麻痺に近い臨床的モデルが作成できた。臨床面ではBell麻痺患者の164例の唾液からPCRにより、16例(9%)にHSV-1のDNAを、9例(5%)に水痘-帯状疱疹ウイルス(VZV)のDNAを、また2例からは両ウイルスのDNAを検出した。PCRによるウイルス診断には感度等、今後解決すべき課題はあるが、早期診断として可能性を示した。また、Bell麻痺患者480例を対象にステロイド単独とステロイドと抗ヘルペス剤であるアシクロビルの併用療法による治療効果を比較検討した。その結果、ステロイドとアシクロビルの併用群では完治率が95.7%であったのに対してステロイド単独群では88.6%と治癒率が低く、アシクロビル併用の有用性が示された。また、アシクロビル併用群では3日以内に治療を開始した症例では完治率が100%であったのに対して、4日以降の投与では86.2%と低く、アシクロビルの早期投与が有効であることも明らかになった。以上ことからPCR等による早期の病因ウイルスの検索の必要性が示唆された。
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