研究概要 |
ドパミントランスポーター発現モデルを用いて細胞障害発現機構ならびに神経活性調節機構について検討し、以下の結果を得た。 1.ラットドパミントランスポーター(cDNA)を発現させたCOS細胞(COS/DAT)およびPC12細胞においてMPP^+の暴露により細胞死を引き起こした。 2.PC12細胞においてMPP^+による細胞死はレセルピンにより増強されたが、α-methyl-p-tyrosineは影響を及ぼさなかった。 3.インドメタシンおよびイブプロフェンによりMPP^+による細胞死は増強された。アスピリンおよびCOX-2特異的阻害薬NS-398は影響を及ぼさなかった。 4.PPAR_γリガンドは高濃度で細胞死を引き起こした。 5.アラキゾン酸はBSA-free mediumではドパミン取り込みを促進した。 6.L-DOPAはCOS/DATにおいてドパミン(DA)取り込み促進作用を示した。SK-N-SHおよびPC12細胞においては,L-DOPAはDA取り込みに対し,低濃度で促進,高濃度で抑制作用を示し,ラット線状体シナプトゾームでは抑制作用を示した。 7.COS/DATにおいてはL-DOPAは細胞外から最大取り込みを促進し,シナプトゾームにおいてはL-DOPAは細胞内に入りDAに変換されて抑制作用を示した。 8.モノアミントランスポーター阻害作用のある合成局所麻酔薬の連続投与はコカイン同様痙攣の感作を引き起こした。デシプラミン他ノルエピネフリントランスポーター阻害薬の連続投与はリドカイン痙攣の発現率を高め,痙攣閾値を低下させた。一方,このような処置は,コカイン痙攣発現を抑制し,痙攣閾値を低下させた。特異的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)の前処置はリドカイン痙攣を強く増強した。SSRIの慢性投与および特異的ドパミン取り込み阻害薬の慢性投与はリドカイン痙攣発現に大きな影響を及ぼさなかった。以上ドパミントランスポーターの機能調節の一端を明らかにした。
|