配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
チタン製金属床の普及と相まってチタンの金属床が使用中に褐色に変色したとの報告も散見されるようになり,その原因の究明が急がれている.チタン金属床の変色の原因としては,口腔内でのフッ化物の使用,有機酸の影響あるいは口腔外での洗浄による影響などが考えられている.そこで,チタン製義歯床の変色の原因を明らかにする目的で18種の義歯洗浄剤と5種の義歯洗浄剤成分を用いて浸漬試験,pH測定および,X線光電子分光分析,走査電顕による表面観察などを行ったところ,強アルカリ性の義歯洗浄剤による変色の原因として,腐食による表面の粗化と酸化膜の生成が考えられ,変色の度合いは酸化膜の厚さに依存するものと推定された. 次に,過酸化水素およびフッ化ナトリウム水溶液中でのチタンおよびチタン合金の変色挙動について調べた。Grade2-Ti,Ti-0.15Pd, Ti-6Al-4V,Ti-10Cu,Ti-20Cr,Ti-50at%Ni,Ti-7Nb-6Alの各チタン合金板を用い鏡面研磨したものを試料とした。過酸化水素を含む溶液は0.1mol/l H202+0.9%NaCl(pH5.5)とし,フッ化ナトリウムを含む溶液は0.2%NaF+0.9%NaCl(pH3.8 with lactic acid)とした。結果として,チタンおよびチタン合金の変色傾向と溶出量は過酸化水素を含む溶液とフッ化ナトリウムを含む溶液で異なり,Ti-Ni合金は過酸化水素を含む溶液中で色差も溶出も大きいことから変色の原因は主に腐食によると考えられ,Ti-6Al-4V合金の場合は溶出量が少ないにも拘わらず色差が大きいことから腐食よりも酸化膜形成による変色の要因が大きいと考えられた。フッ化ナトリウムを含む溶液中ではTi-20Cr合金を除く全てが腐食に伴なう変色と考えられた。 更に,チタンの電気化学的特性に及ぼすフッ化ナトリウム濃度及びpHの影響を詳細に検討すると共に,これらの電気化学的特性に及ぼすアルブミンの影響を検討した.その結,チタンの腐食はアルブミンの存在で抑制され,NaF溶液に添加したアルブミンの濃度が高くなるに従ってチタンの耐食性は向上する傾向にあることが明らかとなった.従って,チタンの腐食挙動にはアルブミンの存在が大きく影響することが明らかとなり,チタンの耐食性を評価する場合,タンパク質の有無が重要な因子であることが示唆された.
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