配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
2003年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2002年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,変形性顎関節症モデルマウスであるSAMを用いて,顎関節軟骨と軟骨下骨髄におけるコラーゲン線維形成の制御や基質の構造的機能を担うコラーゲン結合性低分子量プロテオグリカン(SLRP)の分布と発現を調べることにより,SLRPの変形性顎関節症発症および進行における関与を探ることである.顎関節軟骨の全域に分布したコンドロイチン-4-硫酸(C4S)と軟骨表層に局在したケラタン硫酸(KS)は軟骨に亀裂が入ると,その周囲に強く局在した.このことから,SLRPの糖鎖であるC4SとKSは破壊されつつある軟骨に何らかの働き(破壊されたコラーゲンの代償とした構造的役割)を担っている可能性が推測された.顎関節軟骨下の骨髄におけるSLRP(デコリン,バイグリカン,フィブロモデュリン,ルミカン)の発現量はいずれも変形性顎関節症を呈するSAMP8とそのコントロールのSAMR1で明瞭な相違を認めなかった.しかし,膝関節下の骨髄においては,バイグリカンの発現に相違があり,SAMP8で発現が認められたもののSAMR1では認められなかった.このことから,SAMP8はSAMR1に比べ骨質に何らかの相違がある可能性が推察された.今後さらなる検証を必要とするが,コラーゲン結合性SLRPは顎関節軟骨と軟骨下骨の構造的役割を担っており,変形性顎関節症の発症あるいは進行に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された.患者個体間での軟骨あるいは骨の質的相違が同症発症に関わっている可能性を探求する必要がある.
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