配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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研究概要 |
I.口腔扁平上皮癌(96例)と白板症(56例)における癌関連遺伝子(p53,mdm2,p14)の発現を免疫組織学的に検索した.1,p53,mdm2,p14の発現率は,白板症では各23.2,44.6,56.0%で,p14のみが細胞異型度と相関性を示し,異型度の強いほどその発現率は低下した.扁平上皮癌では各40.8,46.9,22.9%で分化度の低いものほどその発現率は低下した.2.mdm2とp14の同時陽性例は,正常歯肉,白板症の非癌化群と癌化群および扁平上皮癌で各85,37,30と19%で,異常細胞の増加につれて低下した.扁平上皮癌では,分化度の低い例ほど同時陽性率は低下した.3.p53の発現しない例のうち,mdm2陽性でp14陰性例は,正常歯肉,白板症の非癌化群と癌化群および扁平上皮癌で,各0,12,21.4,および27.8%で,悪性度に相関して増加した.4.間質におけるmdm2の発現率は,白板症の非癌化群と癌化群では各25.8,48.0%で癌化群が高かった.扁平上皮癌のTNM分類では進行例に比べ早期例の発現が高かった.対照の正常歯肉と扁平苔癬における間質のmdm2の発現率は,各7.7,85%であった. II.ヒト口腔扁平上皮癌由来培養細胞株における癌関連遺伝子(p53,mdm2,p14)の発現をWestern blot法による検索で検討した.ヒト口腔扁平上皮癌由来培養細胞株の7株中4株にp53タンパクが,mdm2タンパクとp14タンパクは3株に発現した,mdm2タンパクとp14タンパクが同時に発現した例はなかった. 以上から口腔白板症の悪性化や口腔扁平上皮癌のp53に対しmdm2とp14の発現が低下するため,ARF-p53経路に生じる異常は腫瘍増殖機構の一因となる可能性が考えられた.また,細胞や組織の悪性化に伴い,生体の自己防御機構の一環として腫瘍の制御に間質が参加する可能性が示された.
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