研究概要 |
1)細胞培養実験により各種サイトカイン刺激が与えるuPA, MMPsの発現状況の解析 骨・軟骨の基質破壊機構を解明する上で,基質破壊に関わっている因子や,それらの誘導因子を把握することは必要不可欠である.そこで,申請者らが独自に開発した培養システムにより分離した関節軟骨由来細胞における各種サイトカイン刺激がuPA, MMPs産生に与える影響を検討した. 2)サイトカイン刺激による基質破壊産生亢進に関与する転写因子の解明 おとり遺伝子による基質破壊酵素抑制の戦略には中心的役割を演じている転写因子の解明が必要不可欠である.従ってサイトカインで刺激した培養細胞および組織材料を用いてバンドシフトアッセイにより,関与する転写因子を検索した. 3)変形性関節症検討のための動物モデルの確立 本研究を臨床応用するためには,動物モデルにおける有効性の検索が必要である.現在,申請者らが独自に開発した変形性関節症動物モデルは,組織学的にはヒト変形性関節症と近似の像を呈するが病変の進行に関与している基質破壊酵素や転写因子がヒト病態と同一であるかについては検討の余地を残している.従って,動物モデルと平成11年度に解明したヒト病態における結果について比較した. 4)培養細胞・動物モデルにおけるおとり遺伝子治療効果の検討 培養細胞および動物モデルにおける組織内細胞におとり遺伝子を導入し,基質破壊酵素産生の抑制効果を検討した.さらに,全身的・局所的な副作用の検索を行い,その対処法を検討した.本研究は臨床応用にむけて基礎的資料となる.
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