研究概要 |
今回,我々は,小児口腔内からPorphyromonas gingivalis(P.g.), Actinobacillus actinomycetemcomitans(A.a.), Prevotella intermedia(P.i.),およびBacteroides forsythus(B.f.)の4菌種をPCR法で検出し,その検出結果と臨床診査との関係について検討した.被験児は本学小児歯科外来を受診し,全身的に健康な小児37名とし,上顎右側中切歯(FDI 11)と上顎右側第一大臼歯(FDI 16)の近心唇側・頬側面から歯肉縁上プラークを採取した.細菌の検出は,プラーク抽出DNAを鋳型とし,菌種特異的なPCR反応により行った.また,臨床診査は口腔内診査,Probing Depth,およびBOPの有無について行った. 部位別の検出率において,FDI 11では,P.g.,B.f.,A.a.,P.i.,の順で高く,FDI 16では,P.g.,P.i.,A.a.,B.f.の順で高かった.FDI 11とFDI 16のB.f.の検出率に有意差があった.年齢別でみると,A.a.,P.i.,B.f.の検出率は混合歯列期に高く,永久歯列完成期では低い傾向を示した.また,BOPの有無と検出率との関係では,P.g.とBOPの間に相関はみられなかった.A.a.,P.i.,B.f.では,BOP(-)群に比べ,BOP(+)群の方が高い傾向を示した. 本研究では,6〜18歳の小児の歯肉縁上プラーク中に歯周病関連細菌が高頻度に存在したことが示された.また,歯周疾患の予防の点から将来歯周疾患に罹患するリスクの高い小児を早期にスクリーニングし,小児期から対処する必要性が示唆された.
|