研究分担者 |
柴 秀樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60260668)
河口 浩之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10224750)
加藤 幸夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10112062)
中村 茂夫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00325200)
吉野 宏 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (50240338)
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研究概要 |
平成14年度は,平成13年度に引き続いて骨髄間葉系幹細胞の分離,培養,増幅と,その細胞移植による歯周組織再生に関しての動物実験を行った。 ビーグル犬の腸骨から骨髄液を約1ml採取し,骨髄間葉系幹細胞の分離・培養・増幅を試みた。採取した骨髄液を10%FBS(fetal bovine serum)および1% antibiotics(0.05 units/ml penicillin&0.05 units/ml streptomycin)含有DMEMにて一回washしたあとで上記のmediumにて100mm dishで培養をおこなった。その後3〜4日ごとにmedium changeを三回くり返すことで浮遊細胞を除去し、引き続いて上記のDMEMにbFGF(10ng/ml)を添加して、接着した紡錘形の細胞を間葉系幹細胞として分離した。その後、同様のmediumにて必要量の細胞が得られるまで(約3代)培養および継代をくりかえした。次に,この細胞の歯周組織再生に及ぼす影響を検討するため,担体とともに実験的歯周組織欠損モデルに移植し,組織観察した。ビーグル犬に3級根分岐部病変モデルを作成し,コラーゲンゲルとともに移植した。術後1カ月の組織標本を作製し,組織計測,形態観察を行った。 細胞移植群では,歯槽骨再生と共に,セメント質再生と一定の幅をもった歯周靭帯組織が観察された。骨性癒着像は認められず,適切な歯周組織の回復が確認された。再生歯周靭帯組織のコラーゲン線維は,アザン染色で歯根面に挿入されている像として観察された。また,再生セメント質はトルイジンブルーで濃染する像として認められた。組織計測では,移植細胞濃度2×10^6cells/100μlで最も顕著な歯槽骨再生が認められ,この濃度をピークとしていた。セメント質再生に関しては,移植群と対照群ではその再生量に差が認められ,2×10^6cells/100μlで最高値を得た。これらの結果から,歯周組織欠損部への骨髄間葉系間細胞移植は歯周組織再生に関して有効であり,これまでの再生療法と異なり,セメント質再生に有効に働くことが示された。
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