配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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研究概要 |
本研究は、複核鉄並びに白金錯体による二本鎖DNAの酸化的切断、インタカレーションによるDNAの複製阻害、特異的構造をもつDNAの認識・構造変化を目的とし、二つのサブテーマを設定した. 1)複核鉄錯体による酸化的DNA切断の検討 1,8-anthracenedialdhydeとN',N'-dipyridylmethyl-R,R-cyclohexane-1,2-diamineとから誘導される光学活性な複核配位子1,8-(N-anthranylmethyl)-bis(N',N'-dipyridylmethyl-R,R-cyclohexane-1,2-diamine)(1)を合成した。その構造は、NMR及び質量分析により決定した。 次に、酸化的DNA切断を検討した。条件:空気下、pUC19プラスミドDNA0.57μgを用い、50mMトリスホウ酸緩衝液中アスコルビン酸ナトリウム存在下1および硫酸第一鉄(モル比1:2)を混合し、37℃で1時間インキュベートした。その後、エチジウムブロマイド含有1%アガロースゲルを用いて電気泳動を行いデンシトメトリーでForm I, II, IIIの生成比を求めDNA切断能を評価した。1は5μMの濃度で効率よくDNAを切断することがわかった。DNA切断における時間依存性の検討から、インキュベート直後からすでにForm IIIが生成していることからDNAの二本鎖が、同時に切断されている可能性が高いことが示唆された。次に、pUC19DNAを用いPCR法により調製した253塩基対フラグメントを用いてDNA切断を行った。1はAT-richな部位を切断していることがわかった。これらの結果から、鉄錯体1はDNAの二本鎖を同時に、かつ、塩基特異的に切断している可能性が高いと考えられる。 2)複核白金錯体にによるインターカレーションによるDNA相互作用の検討 1,3-並びに1,4-キシリル架橋複核ターピリジン白金錯体[1,3-{(terpy)PtSCH_2}_2C_6H_4]^<2+> (2)および[1,4-{(terpy)PtSCH_2}_2C_6H_4]^<2+> (3)とDNAとの相互作用をCDスペクトル測定により検討した。3についてはCDスペクトルの変化は観測されなかった。一方、2では,CDスペクトルは大きく変化し2つのPt-terpy部分がキシリル基によって制約され、その両方がDNAとのスタッキング相互作用によってDNAと特異的にねじれる構造になることがわかった。
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