研究課題/領域番号 |
13470519
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
和田 英夫 三重大学, 医学部, 助教授 (40158704)
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研究分担者 |
中谷 中 三重大学, 医学部, 助手 (80237304)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
2002年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2001年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 高齢者 / 線溶系 / tPA / PAI-I / TAFI / PAI-Iポリモルフィズム / DIC / tPA-PAI-I complex / PAI-Iプロモーター領域ポリモルフィズム |
研究概要 |
日本人の死因の第2位と第3位は血栓症であり、特に高齢者における血栓症の予防は重要な課題となっている。一般に、加齢は血栓症の大きなリスクと考えられており、我々は加齢と止血異常の関係について検討した。維持透析患者における検討では、加齢とともに血栓症の発症頻度ならびに血栓症に伴う死亡は増加した。また、加齢とともに大動脈の石灰化やAPIなどで示される動脈硬化の進展が認められた。70歳以上の高齢者では、健常者でもAntithrombin (AT)やproteinC (PC)などの生理的阻害因子の低下が認められ、thrombin-AT複合体(TAT)、souble fibrinなどの増加が認められた。一方、健常高齢者ではフィブリンならびにフィブリノゲン分解産物(FDP)やplasmin-plasmin inhibitor複合体(PPIC)の増加などに示される、線溶系の亢進が認められた。しかし、健常老人には血栓形成に伴う二次線溶亢進の証拠はなく、加齢による生理的な線溶系亢進が示唆された。線溶系を調節する因子としては、組織型plasminogen activator (t-PA)などのPAと、その阻害因子であるPA inhibitor (PAI) -I,II,IIIやthrombin activatable fibrinolysis inhibitor (TAFI)などが存在する。我々はELISAにより、total-PAI-I、t-PA-PAI-I complex、TAFIなどの測定系を確立し、播種性血管内凝固症(DIC)や静脈血栓症の診断に役立てた。高齢者では血中のPAI-IやTAFI濃度が増加し、これらが血栓症のリスクに関与している可能性が示唆された。高齢者PAI-Iの増加に関与する機序として、PAHプロモーター領域のポリモノレフィズム(4G/5G)が関与している可能性があり、同意のもとに検討を行った。PAI-Iプロモーター領域のポリモルフィズム(4G/5G)の分布は若年層と高齢者で有意な差が見られず、PAI-Iポリモルフィズムと加齢における血栓症の関係は認められなかった。以上、高齢者では血栓症のリスクが増加し、動脈硬化の進展は強いが、線溶系の亢進が認められた。我々の検討では、この線溶系異常や加齢とPAI-Iプロモーターのポリモルフィズムとは関係を認めなかった。
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