配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2001年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
本研究の第1の仮説は,災害スキーマの形成の程度が高い住民ほど,外界に存在するハザード情報からその意味をくみ取ることがたやすいとともに,災害に対する被害抑止や被害軽減の方策についてより積極的な態度や意図を示すであろうし,また実際の行動もおこしているはず,というものである.この仮説にもとづき,99年に水害を,01年に芸予地震により被害を受けた広島県呉市の行政,支援者,被災住民の方々へのインタビュー調査を実施し,99年水害時の体験が01年地震の対応をより効果的にするものとして機能していたことを明らかにした. 本研究の第2の仮説は,災害スキーマの形成の度合いが,被害抑止や被害軽減行動を促進する影響力をもつことは,実証的調査研究でも明らかにできるというものであった.そこで,市内中心部に大きな断層帯が走っているフィリピン・マニラ首都圏マリキナ市の住民を対象とした地震リスクに関する標本調査を実施した.またこの調査と比較する上で,広島県呉市住民にも共通の質問紙調査を行った.調査の結果から,被害抑止・被害軽減に関する行動意図・実際の行動の外生変数として災害スキーマが極めて重要な要素であることが明らかになった. 本研究の第3の仮説は,災害スキーマは行政や関係者や住民自身の努力を通じて促進できる,というものであった.この点を実証するために,フィリピン・マニラ首都圏マリキナ市民を対象としたアクション・リサーチを実施した.具体的には,防災博覧会や,住民公開の場での実物大の家屋破壊実験などを通じて,地震ハザードの理解やその対策が充分にみずからの資源や知識を用いて対処可能であると参加後に人びとが考えるようになった.なお,本研究の第2および第3の研究の実施にあたっては,本科学研究費補助金に加えて,EqTAP(アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減化技術の開発とその体系化に関する研究)の林春男教授をチームリーダーとする研究班の研究資金の一部も活用させて頂いた.ここに記し感謝申し上げる次第である.
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