配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
研究概要 |
1.放射線発がんの過程で感受性に関わる遺伝子を明らかにするため,BALB/cHeAとSTS/Aとのコンジェニックマウスを作成して,X線分割照射誘発胸腺リンパ腫の実験系を用いた.4番染色体のほか16番染色体には発がん感受性を修飾する二つの遺伝子座が存在した.16番染色体セントロメア近くにマップされるDNA-PKcs遺伝子において,2系統間で遺伝子の中央付近とカイネースドメイン近傍にアミノ酸置換をもたらす塩基配列の違いを認めた.またSTS型はBALB/c型の高い酵素活性は5-10倍の違いがあった.これらの結果はDNA-PKcsの多型に基づく活性の違いがBALB/cとSTSとの間の放射線リンパ腫感受性差の要因の一つである事を示した. 2.Atmとp53のヘテロ欠損マウスにおける乳癌の発生を調べ,両遺伝子の発がんへの寄与を解析した.さらに乳癌のLOHを調査し,がん抑制遺伝子の領域を推定した. (1)BALB/cHeA-p53^<KO/+>とMSM/Ms-Atm^<KO/+>を交配したF_1雌マウスに5GyのX線を照射したところ,乳癌はp53^<KO/+>Atm^<+/+>マウスでは31%,p53^<KO/+>Atm^<KO/+>マウスでは58%に発生した.p53ヘテロ欠損が乳癌を発生させ,Atmヘテロ欠損は乳癌の発生をさらに増加させた. (2)放射線照射により,乳癌の発生率は変わらなかったが,発生時期は早まった. (3)ゲノムワイドのLOHスクリーニングより5番,8番,9番,10番,11番,12番染色体において比較的高頻度のLOHが観察された. (4)8番染色体については,D8Mit45(40cM)から8Mit120(61cM)までの領域において,12番染色体については少なくとも2つの領域において,高頻度のLOHを発見した. (5)53^<KO/+>マウスに発生した乳癌41例中40例(98%)においてp53の野生型アリルが消失しており,乳癌発症にp53の機能喪失が主要な役割を演じていることが判った.
|