配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2002年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2001年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
|
研究概要 |
破骨細胞分化因子RANKLは膜型タンパク質であり,破骨細胞分化においては骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞の細胞間接触が必須なことから膜型で機能すると考えられている.一方,可溶型RANKLは活性化T細胞により産生され,炎症性骨破壊に関与するという報告があるが,その機能は不明である.我々は生理的な可溶型RANKLの役割を調べる目的で,可溶型RANKLを過剰発現するトランスジェニックマウスを作製した.このマウスは破骨細胞形成抑制因子OPG欠損マウスと同様に破骨細胞の増加により重篤な骨粗鬆症を呈した.このことから炎症などにより生体内で可溶型RANKLが過剰に産生されると骨破壊を引き起こすことが示唆された.これらのマウスではRANKLとOPGのバランスがRANKL側に傾くという共通のメカニズムで破骨細胞が増加する.OPG欠損マウスにおいて認められる骨芽細胞と破骨細胞のカップリング現象は,可溶型RANKLトランスジェニックマウスではほとんど見られなかった.その理由は不明であるが,これら2種類のマウスの表現型を詳しく比較することは,カップリング現象のメカニズムの解明やそれにかかわるカップリングファクターの同定につながると考えられる. 一方,骨芽細胞分化に必須の転写因子であるRunx2の欠損マウスには,骨芽細胞が存在せず軟骨はあるが骨は欠損している.このRunx2欠損マウスと可溶型RANKLトランスジェニックマウスとの交配も行った.その結果,Runx2欠損マウスでは骨芽細胞が存在しないためほとんど認められない破骨細胞が交配マウスにおいて増加することが判明した.破骨細胞の分化にはRANKLが必須であり,Runx2により分化する骨芽細胞がRANKLの重要な供給源となることが明らかとなった.一方,交配マウスにおける破骨細胞の分化は可溶型RANKLによりレスキューされたものと考えられた.
|