研究課題/領域番号 |
13480220
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
若林 克三 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (00029521)
|
研究分担者 |
上野 豊 産業技術総合研究所, 脳神経情報部門, 主任研究員 (60356558)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2001年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
|
キーワード | 筋収縮 / 筋肉制御機構 / トロポニン / 細いアクチンフィラメント / X線回折 / シンクロトロン放射光 / 時分割X線回析 / トロポミオシン / 時分割X線回折 / 骨格筋の収縮 / 筋収縮制御 |
研究概要 |
筋収縮の過程における制御蛋白質とアクチンフィラメントの構造変化をシンクロトロン放射X線回折により測定し、構造解析した。 (1)トロポニン(TN)子午反射の強度変化をTV-CCD型X線検出器で測定した。両フィラメントのオーバーラップがない状態では、TN1(2)次反射は刺激直後に強度増大(約40%)した。オーバーラップのある状態では1次反射は刺激直後に同程度の強度増大を示した後張力の発生とともに減少し、張力プラトー時には弛緩状態のレベル以下に下がった。一方、3次反射は張力発生に先行する形で強度増大した。動径方向の反射巾は張力発生とともに拡がった。反射巾の補正を施すと1次の反射の強度減少は弛緩レベルにおさまった。以上のことからCa^<2+>活性化によりトロポニン分子は繊維軸に沿った電子密度をシャープにするような変化を起し、さらにミオシン頭部の相互作用によって初期過程とは逆方向に構造を変える2相性の構造変化を示すことが明かとなった。 (2)アクチンフィラメントの伸展性とねじれ変化をアクチンの第1層線スペーシングを精密測定することで明確にした。オーバーラップのない状態の筋肉を電気刺激した時、アクチンフィラメントは右巻きらせんを捻って約0.1%短縮した。一方、オーバーラップのある場合の筋肉の収縮中においてはアクチンフィラメントは右巻きらせんを緩めて約0.4%伸びることが明らかとなった。アクチンフィラメントのらせん対称性は80ユニット/37ターン(弛緩)→106/49(活性化)→54/25(力発生中)と変化した。モノマー間の捻れ角は初期過程で166.42°、収縮中は166.67°であった。これらの事実はアクチンフィラメント自身がオン・オフ状態を内包し、Ca^<2+>はスイッチとして働いていることを示すと共に、力発生にはミオシンとの相互作用によるアクチンフィラメントの弾性的な伸展が強く関与していることが明らかとなった。 (3)筋収縮時の細いフィラメントの高空間分解能構造解析を行った。結晶解析されたトロポニンコアドメインを導入して中角-広角の強度データを説明するモデルを探索し,トロポニンの最適配置を決定した。トロポニンコアドメインはアクチンモノマーの1-2サブドメインにわたって結合し、収縮中はコアドメインのC端付近がフィラメントの外側に突き出るような変化を示した。アクチンフィラメントは基本的にはHolmesモデル(1990)に近い構造であった。収縮中、アクチンモノマーの各ドメインが小さな変化を示していて、とくにサブフラグメント2がフィラメント軸に近付く方向に約0.5nm動く変化を示した。トロポニンT1部とトロポミオシンをさらに導入して低角の反射強度分布を説明するモデルを検討している。
|