研究課題/領域番号 |
13480254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中福 雅人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80202216)
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研究分担者 |
小迫 英尊 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10291171)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
17,200千円 (直接経費: 17,200千円)
2002年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2001年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
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キーワード | 神経発生 / 転写因子 / 神経幹細胞 / ニューロン / グリア / bHLH因子 / ホメオドメイン型転写因子 |
研究概要 |
本研究では、神経系を構成する多様なニューロン・グリアの共通の前駆細胞である神経幹細胞に着目し、その増殖と分化の制御機構を明らかにすることを目標としている。本年度は特に、脊髄神経管における制御機構を明らかにすることを目的とした。これまでの研究から、発生期脊髄では背腹軸に沿った特定の領域で特定のニューロンが生み出されることが知られている。また、ニューロン分化に引き続いて、腹側のOli2,Nkx2.2発現ドメインからはオリゴデンドロサイト前駆細胞が生み出され、より後期にはアストロサイトが分化するとされる。このような空間的・時間的な細胞分化のパターンを制御する候補遺伝子群として、各種のホメオドメイン型およびbHLH型転写因子の発現を解析した。その結果、Olig, Nkx2.2発現ドメインにおいては、ニューロンからオリゴデンドロサイトへの分化スイッチの時期に一致してMash1が特異的に発現していた。また、これに先立つニューロン分化の時期には、Ngn1,Ngn2,Ngn3が各ドメインに発現していた。一方、発生後期のアストロサイト分化の時期にはこれらの遺伝子の発現は全て消失し、抑制性HLH因子であるId1が特異的に発現していた。そこで、組み換え型レトロウイルスを用いてこれらの遺伝子を単独あるいは組み合わせで培養神経幹細胞に発現させ、その効果を検討した。その結果、Pax6はNgnあるいはMash1と組み合わせた場合ニューロン分化を促進し、オリゴデンドロサイト、アストロサイトの分化を抑制した。一方、Olig2とNkx2.2は、Mash1と組み合わせた場合にオリゴデンドロサイトの分化を特異的に促進し、ニューロンとアストロサイトの分化を抑制した。逆にId1は、アストロサイトの分化を促進する活性を示した。以上の結果から、発生期の脊髄においては、各転写因子がそれぞれ特異的な組み合わせで時期・部位特異的に発現し、その組み合わせで規定される遺伝子活性に従って、神経幹細胞からのニューロン、オリゴデンドロサイト、アストロサイトの発生が制御されていると考えられた。
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