研究分担者 |
小林 亮 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60153657)
山口 隆美 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30101843)
坪田 健一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10344045)
石井 勝弘 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30311517)
岩井 俊昭 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (80183193)
|
配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
|
研究概要 |
本研究は,流動下における赤血球の運動および変形動態を実験および理論の両面から解析し,血液を構成する赤血球の力学的挙動から血液のマクロな流動現象を明らかにすることを目的に行われた.その結果,個々の赤血球の力学的挙動に着目した計算力学シミュレータの開発に結びつく下記の研究成果が得られた. 実験的アプローチでは,まず,回転粘度計による血液の粘度測定下における赤血球の変形や集合状態を動的散乱光を用いて計測する手法を確立するために,粘度計の底面から照射した光の全散乱光の時間相関関数が,回転盤の粗面からの散乱光の時間相関関数と媒質からの散乱光の時間相関関数の和で表されることを理論計算により示した.次に,血液のモデルとしてラテックス懸濁液を用いた測定結果と解析結果とが一致することを確認した.これにより,回転粘度計内における粒子の集合状態を動的散乱光法により測定することが可能であることを明らかにした. 理論的アプローチでは,赤血球膜の面内変形,曲げ,および面積変化に対する弾性特性を表すバネのネットワークを考え,エネルギ原理に基づいて定式化することにより,3次元的に自在に形状を変化し得る赤血球の力学モデルを構築した.この力学モデルを用いて,膨潤した球形の赤血球の体積を減少させた場合の形状変化について調べ,構築したモデルにより様々な赤血球の形状を表現することができることを示した.さらに,エネルギー最小化原理に基づく赤血球膜の弾性ネットワークモデルと,MPS法(Moving Particle Semi-Implicit法)に基づいた血しょう流れの粒子モデルを連成させて,血液流れの粒子シミュレーションを行う手法を確立した.毛細血管の2次元流れ場において,赤血球がパラシュート状に変形しながら流れていく様子を再現し,そのときの赤血球膜に作用する力を本手法により評価できることを確認した。これにより,流動中の個々の赤血球膜に作用する力を評価しながら溶血量を予測するシミュレーション技法の基盤が確立できた.
|