研究課題/領域番号 |
13480287
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2002年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2001年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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キーワード | 腫瘍微小循環 / 血流動態 / 血管新生 / 一酸化窒素 / 共焦点レーザー走査型顕微鏡 / 生体顕微鏡 / 白血球 |
研究概要 |
個体レベルの悪性腫瘍の進展には、血管系がさまざまな形で密接に関与することが知られている。なかでも最近注目を集めているのは、腫瘍による血管新生である。本研究では、in vivoに腫瘍の病態の進展を観察できる腫瘍モデル動物を作製し、血管新生過程を観察すると同時に、腫瘍の微小循環動態の特性について詳細に検討することを試みた。特に、腫瘍に特異的な微小環境の変化が微小循環動態に及ぼす影響を解析するため、一酸化窒素(nitric oxide ; NO)に着目して、その産生阻害剤を投与した条件下での微小循環動態をリアルタイム型の共焦点レーザー走査型顕微鏡システムを用いて観察した。 生体顕微鏡下に腫瘍の微小循環動態を観察したところ、腫瘍組織内部の血管では、血流速度の低下および白血球と血管内皮細胞の相互作用が顕著に減少していることが明らかになった。一方、NOの阻害薬の投与によって、白血球の接着性は正常なレベルまで上昇した。これらの結果、腫瘍由来に産生されるNOが白血球の内皮細胞への接着を妨げ、引き続いて起こる血管外遊走や組織における免疫反応などの一連の過程を阻害していることが示唆された。 そこで次に、白血球の組織への浸潤を促進することによって免疫系の賦活化を試みた。継続的にNOを阻害することによって白血球の挙動を一定期間、正常な血管と同じレベルに保つことを試みたところ、微小血管の新生が阻害されるとともに、腫瘍の増殖が顕著に抑制されるのが観察された。腹腔内に浸潤した白血球のサブタイプの解析を行なった結果、NOの阻害薬の投与群には腫瘍免疫に関わる特定のサブタイプの白血球が有意に増加していることが明らかになった。 以上の研究成果は、論文(英文原著4報、その他8報)および学会(国内学会4報、国際学会2報)で発表した。また、本テーマで指導下の博士課程の学生が世界微小循環学会において奨励賞を受賞した。
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