配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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研究概要 |
本研究では,リン脂質ポリマー(MPCポリマー)を一成分とするポリマーアロイを,新しいバイオマテリアルとすることを目指し,その分子構造,組織構造あるいは表面構造の制御から生体に与える効果について明確に示すことを目的とした.特に1カ月以内の短期間使用の医療デバイスを製造するバイオマテリアルに要求される性質のなかで,力学的強度と生体適合性の双方に関して汎用ポリマー(ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリオレフィン)を凌駕する性質を持つ新規ポリマーアロイを創製した.すなわち,生体内における初期炎症反応や免疫反応など急性生体反応を完璧に回避し,これに伴うマテリアル側の強度変化を起こさない設計に成功した.生体組織との界面摩擦を低減させ低侵襲を実現するために,MPCポリマーの特徴である水分子との親和性をポリマーアロイ界面で発現させた.一方で,加工性について現在の技術が適用できるレベルにするために,ポリマーアロイの構造について検討した.これらをベースとなるポリマーおよび添加する生体適合性MPCポリマーの化学構造,ポリマーアロイのバルク構造,さらには表面における官能基の配向や分布状況などと関連付けながら考察し,構造制御されたポリマーアロイがバイオマテリアルとして有効であることを示した. これらの基礎的知見にもとづき,実際の医療デバイスとして,ポリウレタン/MPCポリマー系では血管内に挿入し留置するステント・カテーテル,ポリエステル/MPCポリマー系では直接全血より血漿を分離する血球フィルターを作製して,マテリアル性能を評価した.これによりバイオマテリアルとしての生体適合性ポリマーアロイの有効性を明確に示すことができた.
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