研究課題/領域番号 |
13490005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日下 康子 (吉田 康子) 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00292219)
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研究分担者 |
高山 和喜 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40006193)
白根 礼造 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30206297)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2002年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2001年度: 11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
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キーワード | 衝撃波医療 / レーザー医学 / 脳神経外科 / 頭蓋骨欠損 / 骨形成誘導 / 衝撃波工学 / レーザー誘発衝撃波 / 神経内視鏡 / レーザー誘発液体ジェット |
研究概要 |
本研究は衝撃波による従来から四肢長管骨を中心に報告されている衝撃波による骨形成誘導効果を頭蓋骨欠損部に対して応用することにより、異物に依存しない非侵襲的治療方法を開発する試みである。頭蓋骨・脳近傍で衝撃波を私用するに際しては、この環境に適した衝撃波発生装置と脳保護手段の欠如が問題であった。そこで、われわれはこの条件を踏まえた簡易型衝撃波照射装置・脳保護手段を開発した。特に前者に関してはHo:YAGレーザーの水中細管内発振を応用することにより(Ho:YAGレーザー誘発キャビテーション衝撃波現象として報告)、将来的に内視鏡導入も可能な装置を開発し、小型化および焦点の局在化に関する技術として特許申請した。一方、衝撃波照射部位の直下に存在する脳組織の保護法としては、脳表硬膜面を衝撃波緩衝材にて被覆することとし、緩衝材の特性を同定し、動物実験にてその有効性を検討した。以上の基礎実験を踏まえ、簡易型衝撃波頭蓋骨部分欠損動物モデル(成長期ラット)に対して衝撃波緩衝材保護下に衝撃波照射実験を行い、頭蓋骨形成誘導の有無を検討した。 1.衝撃波モデル照射実験:成長期ラット頭蓋骨を用いて動物モデル実験を行った結果、衝撃波照射により頭蓋骨形成誘導は生じることが示された。衝撃波照射の至適条件としては、照射方向(骨欠損部周囲骨に対して鉛直方向からの照射が適している)、照射回数(回数依存性に骨形成度が増加する)ことが明らかになった。衝撃波照射4週間後の頭蓋骨組織標本では頭蓋骨内板を中心に骨形成が認められた。今後の臨床応用に向けて骨形成能力の劣る成人ラットでの検討、衝撃波の伝播特性が異なる大動物での検討とともに衝撃波による骨形成誘導効果の機序の解明が必要である。 2.安全性の検証:頭蓋骨欠損モデルの骨欠損部直上から衝撃波を0.5〜10MPaまで変化させて圧依存性の組織学的損傷を評価した結果、1MPa以下では組織学的損傷は認められなかったものの、1〜5MPaでは脳表血管の破綻による硬膜下出血が認められ、5MPa以上では脳内血管の破綻による血腫形成が認められた。一方、脳表を被覆する衝撃波緩衝材の検討の結果、脳外科手術で頻用するGORE-TEX人工硬膜に著明な衝撃波減衰効果があることが物理実験・数値解析により明らかとなり、動物実験においてもその安全性が組織学的に確認された。これまでの検討を基に、頭蓋内におけるさまざまなアプリケーションに対応可能な衝撃波緩衝材を開発を継続する予定である。
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