研究課題/領域番号 |
13554008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 (2004) 高エネルギー加速器研究機構 (2001-2003) |
研究代表者 |
幅 淳二 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (60180923)
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研究分担者 |
田中 真伸 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (00222117)
須山 本比呂 浜松ホトニクス株式会社, 研究員 (90394139)
作田 誠 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (40178596)
住吉 孝行 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (30154628)
飯島 徹 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (80270396)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2002年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 光センサー / アバランシェダイオード / シングルフォトン / マルチピクセル / 電子打ち込み / HPD / ピクセル型 / APD / フォトンカウンティング / 光検出 / ピクセル |
研究概要 |
本研究は、このEB型センサーにおいて、半導体素子としてセグメント化されたアバランシェダイオード(AD)を用いることにより、位置情報を有する超高感度ピクセル型光センサーを開発しようとするものである。セグメント化されたADを適用することには二つの意義があると考えられる。高い精度の2次元位置情報を得られることはもちろんの事、それに加えて大きな受光総面積を持ちながら、独立した各個半導体素子(ピクセル)の容量を小さく保つことによって、優れたノイズ特性、高速の応答性などが達成できる大きな可能性を有することがあげられる。 EB型センサの要素技術は、光電面、電子軌道設計、半導体素子よりなる。光電面としては初期の試作は、通常のバイアルカリを用いた。また構造としては高い磁場中での使用を考慮して、光電面と半導体素子を近接配置する近接集束型電子レンズのタイプを採用した。また半導体素子としては、最小厚の不感層を実現しかつ電子打ち込みに起因する損傷を抑える構造として、裏面照射形のアバランシェダイオードを、8×8のマルチピクセル化したものを新たに設計・試作した。 プロトタイプEB型センサのパルス光応答特性を通常のPMTとの比較で示すと、EB型センサは、ライズタイム、フォールタイムそれぞれにおいて400ps程度とPMTに対し極めて高速であることを確認できる。現在のところこの応答特性はSi製の半導体素子で制限されており、化合物系半導体素子を用いることで、さらに高速化できることが期待される。 少数フォトンを入射したときのパルス波高分布を比較検討すると従来のPMTで容易でなかった入力されたフォトン数の弁別が、本研究にて開発されたセンサの最終試作品においては、その明確な識別が10フォトン程度まで可能なことがわかる。ここまでの高いフォトン弁別能力と分解能を持つ光センサーはいまだかって存在しなかった。これはその大きな初段増幅度によって当該タイプのセンサの電子増倍ゆらぎが本質的に小さいこと、独立した半導体素子(ピクセル)のサイズが小さく従ってその容量が小さいことに負っている。高い初段増幅と近接収束の利点を生かしたことで、高い時間分解能も比較的容易に達成できた。シングルフォトン入力に対するタイミング測定の結果を右に示す。100ピコ秒以下の高い分解能が得られている。 磁場特性についの性能比較においては、下図に示すように、PMTは0.002T程度の磁場強度においてそのゲインが初期値の50%程度までの低下を示し、0.01T程度でほぼ使用不能となるが、今回開発されたセンサーではテストに使用した磁場発生装置の上限である1.5Tまで、ほぼゲインの劣化がないことが確認された。 このように、今回開発された超高感度光センサは、種々の特性において現在広く使用されているPMTよりも本質的な優位性を示すことがはっきりと示された。
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