配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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研究概要 |
クロマイトの成因に関しては,オマーンオフィオライトの地殻部のポディフォームクロミタイトの研究により,飛躍的な発展をとげたと考える.このクロミタイトは後期貫入岩とそれに取り込まれたガブロの部分溶融メルト(シリカに富む)の境界付近にレンズ状に生じており,産状的にはポディフォームである.一方,スピネルは細粒で完全な自形であり,マトリックスには斜長石が卓越する.スピネルはクロム,鉄に富んでいる.これらの特徴は層状貫入岩体の層状クロミタイトのものと一致する.すなわち,このクロミタイトは今まで記載されたことのない,オフィオライトで層序的に最上位のポディフォームクロミタイトであり,層状クロミタイトの特徴も合わせ持つ,両者の中間的なものである.この層状クロミタイトに組成の類似したクロミタイトは,後期貫入岩を作った玄武岩質マクマとガブロの部分溶融メルトの混合により形成されたと解釈できる.従って,層状クロミタイトはIrvine(1975)が最初に主張したように,玄武岩質マグマとマグマ溜りの周囲の地殻岩が部分溶融したシリシックメルトの混合でできたものであろう.Arai and Yurimoto(1994)のかんらん岩中のポディフォームクロミタイトの成因論を合わせ考えると,クロミタイトの生成にはそのタイプを問わず,2種類のマグマの混合が不可欠であることがわかる.一方はかんらん石-スピネルに飽和した玄武岩質のものであり,他方はシリカに富むメルト(通常のポディフォームクロミタイトではマントル斜方輝石の分解溶融によるもの,層状クロミタイトでは地殻の岩石の部分溶融メルト)である.また,マントルのポディフォームクロミタイトの生成は,斜方輝石か非調和融解するような最上部マントルの方がより効果的に行われると思われる.白金族元素鉱物の生成にも2種類のマグマの混合は有利てある.玄武岩マグマが白金族元素を,シリカに富むメルトは硫黄を供給する.
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