研究分担者 |
松下 明生 宇部興産(株), 有機合成第2研究部, 主席研究員
原田 勝正 宇部興産(株), 有機合成第2研究部, 部長(研究職)
山崎 鈴子 山口大学, 理学部, 助教授 (80202240)
親 潤一 宇部興産(株), 有機合成第2研究部, 研究員
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
パラジウム触媒-エチレン系を用いてアルコールの酸化反応,さらには芳香族ヘテロ完納効率的合成法の開発に成功した。芳香族ヘテロ環骨格であるピラゾール,ピリジン,ベンズオキサゾール,ベンズイミダゾール骨格を構築する手段としては,容易に合成可能なジヒドロ体であるピラゾリンとジヒドロピリジンを酸化する方法が有効である。従来,これらの変換反応には、化学量論量あるいは過剰量の二酸化マンガンやDDQなどが酸化剤として用いられてきた。しかしこれらの酸化剤を用いる方法では生じた重金属塩の廃棄物処理問題を始めとする多くの課題が残る。最近,私たちは,ピラゾリンからピラゾールへの芳香族化において,触媒量のPd/C存在下,溶媒に酢酸を用いると反応性が飛躍的に向上し、様々な置換基を有するピラゾリンが対応するピラゾールへと効率よく変換されることを見い出した(Org..Lett.,4,3955(2002))。さらにその後,これらのピラゾリンは,酸化剤であるPd/Cを一切用いなくとも,活性炭だけで酢酸あるいはキシレン中,加熱するのみで,対応するピラゾールへと変換されることがわかった。本反応では酸素が必須である。活性炭が効率的に酸素を吸着し,反応を促進していると考えられる。この反応はパラジウム触媒-エチレン系と異なり,水素移動型(脱水素)の反応ではなく,酸素の取込みの後,水が抜ける脱水型の反応である。 活性炭-酸素系はジヒドロピリジンからピリジンへの変換,アリールベンズオキサゾール,アリールイミダゾール類の合成(Org.Lett.,5,3713(2003)),アントラセン類の合成(J.Org.Chem.,68,8272(2003))においても良好な結果を与えた。これらの変換は従来,過マンガン酸や硝酸あるいはDDQを用いて酸化していたが、本法により環境調和型の酸化が実現できた。
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