研究分担者 |
熊谷 静似 SONY株式会社, CNC DSC磁気デバイス事業部, 課長(研究職)
宮崎 照宣 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60101151)
安藤 康夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60250726)
中塩 栄治 SONY株式会社, CNC DSC磁気デバイス事業部, 研究員
余 澤中 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員
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研究概要 |
サブミクロンスピントンネル接合セルの作製プロセスでは微小サイズのマスクパターンの形状及び位置の制御が非常に難しい.これらの問題を解決するため本研究では収束イオンビーム(FIB)を用いたマスクパターンの形成を試みた.スパッタ法により作製したスピントンネル接合薄膜の上にカーボン(C)及びタングステン(W)をFIB誘起堆積法により作製した.最小100nm角,高さは約300nmのCパターンを作製することができた.従って,アスペクト比>3を確保することができた.CパターンはArイオンエッチングに対しては比較的硬く,酸素アッシングに対しては十分柔らかいことが確認できた.最小140X 180nm^2の長方形で高さ約1ミクロンのWパターンに形成することができた。Wパターンの電気抵抗は接合抵抗に比べ十分低いことが確認できた.しかし,いずれのマスクにおいてもArイオンエッチング中の最付着が生じた.この際付着を防止することで,サブミクロンスピントンネル接合セルの作製が可能となると考えられる. トンネル接合の絶縁層の質的向上のため,Si(111)単結晶表面上にエピタキシャル成長させた下部電極Ag/Cu/Ni-Feを用いてトンネル接合を作製した.X線および低速電子線回折の実験により下部電極のエピタキシャル成長を確認した.この接合の室温の磁気抵抗比は50%と高く,かつバイアス電圧依存性が非常に小さい.酸化時の粒界をとおした酸素の拡散が抑制され,絶縁層および下部電極表面での欠陥密度が減少したことが原因と考えられる. 今後の課題は前述の微細加工プロセスを完成し,エピタキシャル成長した高品位トンネル接合を一辺100nm以下の微小接合に加工し,形状とスイッチング特性の関係を明らかにすることである.
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