配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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研究概要 |
本研究では,量子細線用Siナノワイヤに対して,AFM内準静的曲げ試験技術およびオンチップ引張り試験技術を開発することで,これまで困難とされてきたナノスケール電子デバイス材料のヤング率測定および破壊強度評価を実施し,量子デバイス用ナノ材料の機械的性質を定量的に評価することを試みた.具体的には,電解支援酸化加工法により作製した200nm〜800nm幅の自立型シリコンナノワイヤに対して,ダイヤモンドtip付きステンレス製カンチレバーを用いてAFM内で準静的曲げ試験を実施した.ここでは,常温曲げ試験だけでなく,高温度下での同試験も併せて成功している.一方,オンチップ引張り試験においては,ナノ試験片,櫛歯型静電アクチュエータおよび変位計測カンチレバー機構が一体となった引張り試験デバイスを設計・開発した.得られた結果を以下に示す. (1)ナノスケール単結晶Siは常温では脆性的に破壊したが,373K以上の中温域では塑性変形を生じた.また,ナノスケール単結晶Siの塑性変形範囲には試験片寸法効果が存在することが明らかとなった. (2)295K〜573Kにおける(111)面上<110>方向の単結晶Siのヤング率は170GPa〜159GPaに変化して温度依存性を示したが,試験片寸法依存性は見られなかった.これに対して,ナノスケール単結晶Siの破壊強度には,顕著な試験片寸法依存性が存在することが明らかとなった. (3)AFMによるすべり線観察の結果,すべり線の数は試験片寸法の低下および温度上昇に伴って増加し,ナノスケール単結晶Siには塑性変形挙動の寸法・温度依存性が存在することが示された.これは,熱活性エネルギよりも微小寸法材料内に発生する高い弾性ひずみエネルギが,転位発生に大きく寄与するためと考えられる. (4)ナノスケール引張り試験デバイスの設計,および同デバイスによる引張り応力-変位計測法を構築した.また,作製した静電アクチュエーター体型引張り試験デバイスを使用してアクチュエータの動作試験を行い,引張り試験デバイスとして十分機能することを示した
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