研究概要 |
極低温用変位センサの試作を行った。これは,磁気軸受とは独立した変位センサであり,センシングのみを評価する目的で試作した。試作センサでは17kHz,33kHzを用い,垂直方向,水平方向ともにセンシングを行った。評価・検討の結果,センシングは旨く機能していることが分かった。 次に,先に試作した変位センサを用いて1軸(垂直方向)の浮上制御を行った。これは,変位センサの精度と応答性とを評価する目的を持っており,磁気軸受にとって有効かどうかを実際に評価したことになる。磁気軸受としては片持ち型の磁気軸受を用い垂直方向のみの制御を行った。その結果,試作した変位センサを用いて片持ちのロータを浮上させることに成功した。そして,浮上時の評価・検討を行った。その結果,試作した変位センサは十分実用に耐えることが分かった。 上記の変位センサをセルフセンシングセンサとして用いることを評価・検討した。先ず,回路シミュレータによってバイアス電流の与え方とセンシングとの関係を評価・検討した。その結果,電圧制御方式によってバイアス電流を与えることで,セルフセンシングによる変位推定が可能であることが分かった。そこで,以後の研究ではこの方式を採用することにした。 更に、セルフセンシング方式の片持ち型の磁気軸受を試作した。ここでは,片持ちロータは垂直方向のみに変位可能な構造になっている。その結果,セルフセンシングを行いながら空気中で浮上制御することに成功した。そして,空気中で軸受の応答性などについて評価・検討した。次に,同じセルフセンシング磁気軸受を液体窒素中に浸して,上記と同様の評価・検討を行った。その結果,液体窒素中での浮上制御に成功した。 今回の研究で,液体窒素中でのセルフセンシング浮上に成功した,4軸,5軸での浮上制御までは至っていない。今後の検討が必要である。
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