研究概要 |
紫外線域の発光デバイスの実現のために,紫外線の広い領域で発光可能なIII族窒化物系半導体による量子ドット発光ダイオード(LED)或いはレーザーを作製することを最終目的とした.初年度においては,量子ドット作製手法として我々が提案している窒化物表面の原子レベル構造改質法である「アンチサーファクタント法」を用い,SiC基板や汎用基板であるサファイア上でのGaN(InGaN)量子ドットの構造制御(サイズ・密度等)を試みた.下地であるAlGaN表面の原子レベルでの構造制御(ステップ構造)は均一なサイズ,配列のためには非常に重要であることがわかった.最終年度は,量子ドットの発光特性の改善のために下地AlGaN層の更なる原子レベル平坦化やアンチサーファクタント供給条件の最適化を行った.下地AlGaN層の表面平坦性は,基板表面によって大きな影響を受けることから,AlGaN薄膜品質(表面も含む)の基板であるSiC表面のステップ・テラス構造依存性も明らかにした.更にデバイス構造実現のためにp-AlGaN,p-GaNを含んだドーピング制御及びドット埋め込み条件およびデバイス構造の最適化(膜厚やAlGaNのAl組成比等),積層量子ドット構造の可能性等に関する知見を得た.最終的にGaN量子ドットを含む発光ダイオード構造を作製し,電流注入(室温・連続注入)によって紫外線領域(〜359nm)からの発光を得た.実用化のためには更なる発光効率の改善が必要であるが,量子ドットが短波長発光デバイスに有効であることが示され,今後の展開が期待される.
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