研究概要 |
本研究では,安定性・操作性・再現性に優れ,結晶性に優れた薄膜作製技術できるPLD法をSnO_2薄膜やWO_3薄膜ガスセンサ作製に応用した。さらに,Pd, Au等の添加を検討することにより,NOxガスや水素ガスに関する感度として100程度(3000ppm)が達成可能であることを実証し,小型で作動温度が低い高選択性・高感度半導体薄膜ガスセンサ作製技術を確立することを目的に研究を行った。その結果,以下のことがわかった。 1)パルスYAGレーザ(532nm)及びパルスKrFエキシマレーザ(248nm)を用いたPLD装置によりSnO_2薄膜やWO_3薄膜作製に成功した。作製したこれらの薄膜の微細構造をFE-SEMやAFMで解析し,化学組成や結晶構造をXPSやGXRD等により詳しく調べた。 2)パラジウム(Pd)をSnO_2薄膜に添加(ドープ)するために,スパッタリング法を併用した新しいPLDシステムを開発し,Pd添加の実験を行った。作製した薄膜のXPS分析の結果,Pdの添加に成功し化学量論的組成のSnO_2薄膜が作製できた。水素ガスに対する最大検出感度はPdスパッタリング電力の上昇に伴い向上することが分かった。 3)NOxガス検出用WO_3薄膜についても,PdやAu添加実験を行い,最大検出感度はpdやAuスパッタリング電力の上昇に伴い向上することが分かった。 4)その他の機能性薄膜としてCrC, TiC, CN, cBN, TaN等の高硬度薄膜やTiO_2等の光触媒薄膜作製も行い,SnO_2,WO_3等の薄膜ガスセンサ作製プロセスと比較検討した。 これらの実験結果より,我々が開発した新PLDプロセスは高品質薄膜ガスセンサの作製に簡単でかつ有効な技術であることが明らかとなった。従って,この方面の課題を精力的に研究することは学術的および工業的観点から非常に重要である。
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