配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2001年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
研究概要 |
1.タルボット型重量粒度分布河床材料を有する渓流は,礫列・礫段と共存する交互砂礫州の発達により,早瀬-淵-平瀬を形成する.早瀬-淵の流れ転向部(砂礫州背面から前縁を越える落ち込み部)は,数段の大波高礫段が続き水生生物に対する多様空間を造る.これらの渓流は,サケ科魚などの良好な生息・回遊場になるほか,ウキゴリなど底生魚の生息に好適であり,同様な河床材料と河床勾配を備えた場所は魚道設置の適地になる. 2.礫列・礫段の形態には,(1)一様径の礫群で構成され礫列峰線が直線状で低波高の形態,(2)大小の異粒径礫群からなり礫列峰線が複雑な円弧の連なりを示す形態,(3)大きな礫径をもつ多層の礫群からなり礫列峰線が単純な円弧の連なりを示す大波高の形態(連続W型)がある.バリオグラム解析によれば,(2)は空間的に一様粒径分散を有し,(3)は周期的粒径分散を有する.後者の礫段モード数は5程(川幅の1/5直径の円弧)である.魚道として,(1)は一般的で施工しやすいが波高が低くプール部が浅い.(3)は深いプールが保証され空間の多様性を有するが,自然状態では早瀬-淵の流れ転向部にのみ存在する.対象魚種によって使い分けるべき. 3.(1)よりも(3)において底生成物の総個体数・単位面積あたり個体数(生息密度)が多い.種数では逆.また,射流・跳水・常流の区域比較ではこの順に生息密度が低くなるが,単位面積あたり種数では常流域が多い.ステップ上流部・同頂部は,構成礫の径・表面積が大きく,餌となる有機浮遊物が滞留しやすいため個体数が多く生息密度が高い.しかし,高流速域にとどまることができる種が限定されるため,種数は減少する.同下流部は生息密度が低く単位面積あたり種数が多い. 4.胃内容物調査によれば,サケ科魚の多くは陸生昆虫を好み(94%),フクドジョウなど底生魚の餌は水生昆虫である(99%). 5.以上から魚道を設計するには,(1)対象魚道の勾配,5年確率流量,84%河床粒径を設計条件としてあたえ,(2)交互砂礫州の発生条件を満たす川幅を決定し,(3)提案式により礫列・礫段の平均波長(λ)を算定し,分散σ^2=0.36λ^2をあたえて対数正規分布となる波長系列を乱数発生により求め,(4)84%粒径程度の礫を直線状または連続W型状に並べ固定化した人工構造物(ステップ)を用意し,(5)(2)の間隔で現場に設置して現地材料にて埋め戻す.(6)出水を待つか人工的放流によってプール部の自然形成を計り,(7)河畔にカバー植生を施す.想定魚種により(4)のタイプを決める.
|