研究概要 |
本研究はアラミド繊維ベルトを既存RC柱の外周に帯筋状に巻きつけ、緊張力を導入して高横補強した耐震補強法を新規に提案したものである。さらに、本補強法が重機を必要としない乾式工法であることに注目して、地震被災直後の応急補強法としても本耐震補強法を効果的に適用できるかどうかに関しても研究を行った。 正負繰り返し水平加力実験により,アラミド繊維ベルトによる耐震補強法はせん断スパン比のいかんにかかわらず補強前の脆性的なせん断破壊モードを、靭性に富んだ曲げ降伏モードに変更可能であることがわかった。また、軸力比が0.6の高軸力下でも薄い鋼板を利用すれば、耐震性能の確保も可能である。ただし、高軸力下の鉛直方向軸ひずみを大きく抑制することは不可能である。 緊張アラミド繊維ベルトを用いたコンクリート柱の中心圧縮実験から、プレストレス導入に伴い圧縮強度、圧縮靱性能が共に改善されることが確認されたが,一方でプレーンコンクリートからの強度上昇率には,上限が存在することも明らかになった。 応急補強法は柱の水平耐力と靭性の回復に有効であり,アラミド繊維ベルトに緊張力を導入し、かつ鋼板を利用すればさらに効果的であることが確認された。また,応急補強前後の残存・修復軸耐力実験により,補修前の柱のコンクリート強度は損傷程度にも依存するが,シリンダー強度の0.3倍から0.6倍であること,さらに鋼板やアングルなどを下地材にアラミド繊維ベルトで応急補強し,緊張力を導入すれば柱としての軸耐力は,シリンダー強度を確保できそうであることも確認された。この結果、アラミド繊維ベルトに緊張力を導入した耐震補強法は,特に池震被災後の損傷したRC柱の応急補強に効果的であることが明らかになった。
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