研究分担者 |
川原 雄三 三菱重工業(株)横浜研究所, 主席研究員
基 昭夫 東京都立産業技術研究所, 主任研究員
高橋 智 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80260785)
磯本 辰郎 山陽特殊製鋼(株)技術研究所, 所長(研究職)
石塚 哲夫 新日本製鐵(株)鉄鋼研究所, 主任研究員
筧 幸次 東京都立科学技術大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70185726)
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研究概要 |
地球環境問題やエネルギー資源問題等の観点から,廃棄物処理に関連した技術的課題が山積しており,昨今の循環型社会構築に向けた様々な取組みによって新たな展開も見られている.このような状況下にあって,廃棄物を巡る社会システムは現在,大きな転換期にあり,これを支える廃棄物処理技術においても変革が進んでいる. 産学公連携により現在精力的に展開されている廃棄物処理技術を中心とした環境技術に関する研究開発から得られる成果は,今世紀前半の社会インフラ整備に大きく貢献できるポテンシャルを有するのみならず,いわゆるグローバル・トリレンマ問題解決の切り札的存在になる可能性をも秘めている.廃棄物処理技術において緊急対応が現在強く求められる課題として,ダイオキシン類をはじめとする有害物質による環境負荷を抑止しつつ高度なマテリアル・サーマルリカバリーを達成する新技術の確立と実用化導入の早期化などがある.1990年以降に展開された高効率廃棄物発電技術に関する数件のプロジェクト研究において,高耐食材料の開発評価・実用化導入などが検討され,500℃級ボイラの過熱器管材料に高耐食性Ni基合金の開発導入が実現している.しかし当該温度は,強度特性面からみればさらに安価な鉄鋼材料でも十分適用可能であり,それゆえ在来鋼よりも格段に優れた耐食性を有する「超耐環境性鋼」の開発・実用化導入が経済性の面からも重要課題といえる. 本研究では,このような背景を踏まえ,これまで個々に研究開発を進めてきた産学公の研究スタッフを結集し,高耐環境性材料の合金設計と耐環境性評価に関する研究開発を総合的視野に立って展開した.ここで得られた成果の多くは既に学術雑誌等で論文,解説あるいはシンポジウム等における講演発表の形で公開しており,さらに国際会議でも発表して大きな反響を呼んだ.これらの成果公表により,本課題研究の初期の目標は十分達成できたと考えている.しかしその一方では,昨今の廃棄物処理やリサイクル等に関する制度やガイドライン等の改定,さらには例えば廃棄物熱分解ガス化溶融システムの実用化導入など廃棄物処理プラント新技術の普及に伴い,処理すべき廃棄物の性状やボイラ高温部の環境条件,ひいては高温腐食環境の様相が従来とは相当異なる状況もまた表面化しつつあるため,本課題研究で提案した超耐環境性鋼の適用性に関して今後も慎重かつ系統的に検討を継続していく必要性もある.さらに,今後早急に対応すべき技術的課題などについても検討を加えている.
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