研究概要 |
本研究はレーザの波長が短く空間分解能が非常に高いという特徴を利用して,材料の電磁物性値分布により変化するマイクロ波の応答をレーザにより局所的に高分解能で検出するというマイクロ波-レーザ計測なる新技術の開発を狙ったものである。さらにマイクロ波-レーザ計測技術による,接触媒質を必要としないシリコンウェーハの局所的導電率の高感度な非接触計測の実現を目指したものである。二年より以下の実績を得た。 1.マイクロ波-レーザ計測システムの開発 マイクロ波ビームを電気光学結晶に印加し,電気光学効果によって同結晶に入力されたレーザ光に生じる位相変化を検出する計測システムを構築した。周波数の高いマイクロ波(ミリ波)をサンプリングするために必要なフェムト秒パルスレーザ光の,電気工学効果により生じた偏光変化を検出した。現在システムの最適化を実施中である。 2.厚さに無関係なシリコンウェーハ導電率の非接触計測 シリコンウェーハの導電率の計測において,従来の四探針法やコイル法等のウェーハの厚さを知らなければならないという問題を一挙に解消し,ウェーハの厚さに無関係な導電率計測手法を開発した。シリコンウェーハに周波数の高いマイクロ波を照射することにより,ウェーハ内部を透過するマイクロ波が大きく減衰することを利用したウェーハの厚さに無関係な表面反射測定法を実現した。また反射波の振幅及び位相を同時に測定することにより,ウェーハの誘電率も評価可能な導電率の定量評価モデルを構築した。 3.シリコンウェーハ導電率分布の高分解能かつ高感度な計測 マイクロ波同軸ケーブルセンサを用いて,シリコンウェーハの導電率の分布を高分解能かつ高感度に計測することに成功した。これにより,シリコンウェーハからデバイスに適した導電率の部位を精密に選択することができ,高信頼かつ高性能な半導体デバイスを生産することが可能になった。
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