配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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研究概要 |
本研究では,化学物質が人体に経口的に摂取された場合における人体内動態と最終的な影響を観測可能な新規のin vitroシミュレータシステムの構築とその利用に関する研究を行うことを大きな目的とした。 まず,モデル小腸膜と肝組織について,少なくとも数日間にわたる安定した培養が可能でしかもハンドリングのしやすい灌流培養システムの製作を行った.このシステムを用いて肝細胞モデルとしてHep G2と小腸細胞モデルとしてCaco-2を灌流培養すると,1週間程度の安定した運転は十分に可能であることが確認できた.これは,既往の他の研究例(最大9時間程度)に比べて非常に安定な灌流が実現されていると言え,より時定数の長い生体応答をも観測可能であるというメリットを示すものであった. 次に,このような安定複合培養システムに,解毒酵素群が大きく寄与するベンゾ[a]ピレンをモデル化学物質として実験を行った.その結果,小腸と肝組織とが共存するシステムにおいてのみ,小腸及び肝組織両者のP450活性が亢進するという現象が観察された.また肝組織の増殖と例えばアルブミン分泌能のような肝機能の亢進も同時に観察された.これは,単独細胞のみを含むシステムでは見出せなかった現象であり,両細胞を同時灌流培養することでしか見られない臓器間相互作用と見られ,同時灌流培養による人体のシステムとしての応答を部分的に再現するものと考えられた.
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