研究分担者 |
木下 嗣基 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助手 (10313008)
馬場 信弘 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10198947)
佐藤 徹 東京大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30282677)
戸田 保幸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20172166)
岡本 強一 日本大学, 理工学部, 助手 (50256806)
多部田 茂 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教授 (40262406)
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研究概要 |
我が国の内湾域では,陸域からの過剰な有機物の流入により,富栄養化あるいは過栄養化状態となり,赤潮が多発している。これによる水質の悪化は,海の生態系に影響するとともに水産業への打撃ともなっている。 本研究では,このような問題に対処するために,海洋環境改善装置など数メート〜数十メートル程度の小スケールの人工構造物による流れと物質拡散を数百キロ程度の空間スケール中で一貫して解析しうる数値モデルを開発することを目的とした。フル3次元解析を行う小スケールでのモデルと広い領域における静水圧近似モデルとの結合による「ハイブリッド海洋モデル」は,世界中どこにも無いユニークなものである。この理由は,フル3次元モデルで用いる計算メッシュの大きさは1m程度であること,および通常の海洋環境シミュレーションで用いている計算メッシュは500m以上であり,メッシュ幅の隔たりがあまりに大きすぎていくつかの数値解法上の問題が予想されるためである。 本研究は,「ハイブリッド海洋モデル」の開発を目的とし,平成13年度と14年度の2ヵ年にわたって6研究機関9研究者の協力によって行われた。具体的には,沿岸域や内湾域での流れや物質拡散を差分法によって数値計算するときに必要となる以下のツールについて,おもな分担を決めて開発を行った。 (1)計算メッシュの発生法 (2)広領域における静水圧近似モデル (3)狭領域でのフル3次元モデル (4)広領域と狭領域の双方向ネスティング (5)計算結果の可視化 これらのツールを全て駆使した応用例として,五ヶ所湾における密度流拡散装置の水質浄化効果の数値シミュレーションがあり,「MECモデル」の特徴をいかんなく発揮することができた。また,海底固定型の湧昇流発生装置については現在計算中である。さらに,有明海の環境変化の問題については,単に数値計算に留まらず,数値計算の検証のために自ら観測も行い,一部の結果については学会において公表した。
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