研究分担者 |
佐藤 晃 熊本大学, 工学部, 助手 (40305008)
林 泰弘 熊本大学, 工学部, 助手 (50274692)
大見 美智人 熊本大学, 工学部, 教授 (30040405)
高倉 伸一 産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 主任研究官
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研究概要 |
地殻表層での割れ目である断層は,有限の広がりと幅を持つ立体であり,断層の破壊エネルギーや地熱資源胚胎の能力は断層の幾何学的形状とも密接に関連する。しかしながら,断層全体の形状を把握することは困難である。そこで,衛星画像解析,放射能探査,電気探査,および地磁気-地電流(MT)探査,という4種類の手法を組み合わせ,断層構造を高精度で探査できるシステムの開発を目的とした。平成11年度は熱水や深部地下水の胚胎・通路としての役割をもつ断層,および平成12年度は活断層の構造の解明を対象とした。 1.九州中部の豊肥地熱地域を対象に選んで衛星画像と数値地形モデルとを組み合わせ,リニアメント解析を行ったところ,熱水が深部から地表へと上昇する際に通路となり得る重要な断裂面の方位,幾何学的形状が推定できた。 2.格子状の測点配置のMT探査,見掛け比抵抗のインバージョン解析,およびその結果の補間によれば深度10kmまでの比抵抗分布が3次元的に推定できることがわかった。この手法を阿蘇山火口西側の噴気帯に適用したところ,断層の中で特に比抵抗が低く,破砕度が大きいと推定される部分は柱状であり,深度2.5〜3.5kmの範囲に存在することを見出した。また,断層上の一箇所でラドン濃度の連続測定を行った結果,この低比抵抗部がラドンガスや火山性ガスのソースであり,主要な地熱貯留層であることが推定できた。 3.阿蘇外輪山から西南西方向に走る布田川断層において,その走向に直交する4測線でのMT探査データをインバージョン解析したところ,すべての測線で破砕帯に対応する低比抵抗帯が深度2〜7kmの範囲に現れた。また,布田川断層は北落ちの形状をもち,破砕帯は北東から南西にかけて深くなるような分布形態を示した。 4.衛星画像解析から推定された断層の形状,電気探査データのインバージョンに基づく深度50mまでの比抵抗分布,およびラドン探査に基づく断層モデルとMT探査によって見出された断層の特徴が対応した。よって,断層の深部と浅部構造とは関連性があることが明らかになった。
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