研究課題/領域番号 |
13557016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
江口 直美 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究副部長 (10250086)
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研究分担者 |
裏出 良博 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究部長 (10201360)
坂田 三恵 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究員 (10353525)
曲 衛敏 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部・日本学術振興会, 外国人特別研究員
井上 晃男 獨協医科大学, 越谷病院, 循環器内科・講師 (20168454)
江口 豊 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00263054)
QU Wei-Min Osaka Bioscience Institute, 2nd Department, Japan Society for the Promotion of Science, Postdoctoral Fellowship for Foreign Researcher
黄 志力 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 日本学術振興会外国人特別研究員 (10321704)
竹之下 真 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00144486)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2002年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2001年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
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キーワード | プロスタグランジンD合成酵素 / プロスタグランジンD_2 / 遺伝子操作マウス / ヒト疾患モデル動物 / 睡眠障害 / 動脈硬化 / 糖尿病 / 肥満 / アレルギー |
研究概要 |
生理活性脂質プロスタグランジン(PG)D_2とその代謝物の産生異常や機能異常による動脈硬化・糖尿病・肥満などの生活習慣病の発症進展とそれらに伴う睡眠障害発生の分子機構の解明を行った。手段として、中枢神経系・循環器に発現するリポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)の遺伝子を欠損(KO)または過剰発現させたマウスとDP受容体(DPR)KOマウスを用いた。L-PGDSは分泌型糖蛋白質であり、産生臓器により異なる糖鎖修飾を受けて脳脊髄液・血液・尿中へ分泌される。脳脊髄液中L-PGDSの糖鎖修飾は脳神経系疾患の種類により異なっていた。高感度ELISA法によるヒトL-PGDSの定量系を確立し、各種疾患の体液中のL-PGDSを定量した。L-PGDSは冠動脈疾患動脈硬化病巣の進行度に伴って産生分泌され、この濃度変化は下肢動脈硬化の併発に影響されず冠動脈に特異的であった。従って、血中L-PGDSは既存の冠動脈疾患マーカー蛋白群に比べて最も高い感度と特異性を示す冠動脈疾患マーカーである。一方、ヒト糖尿病性腎症患者での尿中L-PGDS濃度は、腎機能低下に伴い血中クレアチニンよりも早く有意に増加した。高血圧や腎炎でも同様に増加したので、尿中L-PGDSは腎機能障害の早期発見マーカーであり、L-PGDSの細胞局在と体内動態の解析は循環器系の機能維持や障害の発生進展の機序の解明に繋がる。また、中枢神経系ではL-PGDSは脳膜・脈絡叢・オリゴデンドロサイト(OLs)に存在し、睡眠誘発物質PGD_2の産生に関与する。PGD_2受容体の一つであるDPRは前脳基底部クモ膜細胞に限局していた。DPR-KOマウスはPGD_2投与による睡眠を起こさず、内因性介在物質アデノシンも遊離させないことより、PGD_2誘発睡眠はDPRを介していると考えられる。さらに、L-PGDSとDPRのKOマウスは共に断眠処置後の睡眠不足を補うための過剰ノンレム睡眠を示さないので、PGD_2はノンレム睡眠のホメオスタシスに関与すると考えられ、これらKOマウスは熟眠障害モデルとして有用である。また、ヒト先天性脱髄疾患モデルマウスTwitcherのOLsでは脱髄の進行に伴いL-PGDSが過剰発現され、L-PGDS-KO/TwitcherマウスではOLsと隣接する神経細胞のアポトーシスが亢進した。従って、OLsに発現するL-PGDSは、OLsと隣接する神経細胞を脱髄に伴うアポトーシスから保護していると考えられる。
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