研究概要 |
Rhシステムの各種variantの分子遺伝学的解析,ならびにヒトのRH遺伝子座の構造を明らかにするためにマウスのオーソログであるRhced遺伝子を含むゲノム領域の分析を行った。 Rh variant解析は,partial Dとweak Dを対象として検討を行った。RHD遺伝子のエクソン5に変異を有する各種partial D遺伝子のハイブリッドサイトを同定した結果、イントロン4の3'末端に存在する286bpの領域が、RHDからRHCE遺伝子の遺伝子組換えホットスポットの一つであることを明らかにすることができた。一方、イントロン5に存在するRHCEからRHD遺伝子の換え領域は、partial Dのタイプにより異なっていることも判明した。また,weak Dの遺伝子解析により,RHD遺伝子の変異部位を明らかにすることができた。同変異がRhポリペプチドが有する複数の細胞外ループを変化させることにより,RhD抗原の質的異常を引き起こしていること,さらに膜内安定性もしくは膜への組込みを減弱させ,Rhポリペプチドの量的異常をも誘導していることを示唆する成績を得た。 マウスのRhced遺伝子および周辺のゲノム領域の塩基配列を決定し,ヒトの相同領域と比較した。その結果,RH遺伝子を含むヒトの第1番染色体短腕の領域と,マウスのRhced遺伝子を含む第4番染色体の領域はシンテニーが強く保存されており,またRHCE遺伝子がオリジナルの遺伝子の位置に存在し,後にRHD遺伝子およびRhesus boxが導入されたことが推測された。
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