研究課題/領域番号 |
13557081
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70324762)
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研究分担者 |
門屋 利彦 キリンビール株式会社, 医薬探索研究所, 主任研究員
冨山 佳昭 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80252667)
岡島 裕 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2002年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2001年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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キーワード | インターフェロン / Limitin / 抗腫瘍作用 / 免疫調節作用 / 抗ウイルス作用 / 骨髄抑制 / 遺伝子発現 / シグナル伝達 / limitin / Interferon / antivirus / bcr-abl / Tlymphocytes / perforin-granzyme |
研究概要 |
申請者らが白血病細胞株増殖を抑制することを指標にした発現クローニングで同定したLimitinは、IFN-αやIFN-βと相同性を有すること、IFN-α/β受容体と結合することより新種のI型IFNと考えられている。当該期間内に、リコンビナントLimitin蛋白や抗Limitin抗体を作製し、以下のLimitinの生理作用や蛋白発現を解析した。(1)Limitinは細胞障害性Tリンパ球キラー活性を増強させるとともに抗原提示細胞上のMHC class I抗原発現を増強させた。また、Limitinは多くの細胞株やp210bcr/ablを強制発現させた血液細胞株に対し細胞周期停止やアポトーシスを誘導した。マウス脳心筋炎ウイルス・マウス肝炎ウイルス・単純ヘルペスウイルス感染に対してLimitinはIFN-αとぼぼ同等の抑制効果(20-30pg/EU)を示した。一方、抗ウイルス活性を基準にLimitinとIFN-αの量を調整し両者の生理活性を比較すると、Bリンパ球系や巨核球系コロニー形成抑制にはIFN-αと比較して高濃度のLimitinが必要であり、IFN-αで認められた骨髄球系・赤芽球系細胞増殖抑制はLimitinでは認められなかった。LimitinはIFN-αやIFN-βと同様に免疫調節作用・抗腫瘍作用・抗ウイルス作用を示すが、IFN-αやIFN-βと比較して骨髄抑制作用が少ないという特徴を有していた。(2)免疫組織染色にてLimitin蛋白の発現を解析すると、脾臓・胸腺に存在する成熟Tリンパ球が陽性であった。また、胸腺におけるLimitin遺伝子発現は健常時から認められ、ウイルス感染による遺伝子発現増強は認められなかった。以上より、Limitinは、ウイルスの侵入に備えることや免疫状態を調節し腫瘍細胞など危険な細胞を排除することに恒常的に生体内で関与していると考えられた。また、胸腺で高いLimitin遺伝子発現が認められる事実から、ヒト胸腺由来cDNA libraryがヒト型Limitin遺伝子をスクリーニングする際の有力な候補と考えられた。(3)シグナル伝達分子Tyk2を欠損させると、LimitinとIFN-αのコロニー形成抑制作用(CFU-IL7,CFU-Meg)が消失した。LimitinやIFN-αでBリンパ球系細胞を刺激するとDaxx蛋白(増殖抑制に関与)の誘導や細胞内分布変化が認められるが、Tyk2欠損細胞ではDaxx蛋白の変化が消失していた。このように、徐々にLimitinとIFN-αによる骨髄抑制作用に関わるシグナルを明らかにしてきた。
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