研究概要 |
リガンド応答性の核内受容体型転写因子PPARγ活性のヘテロ欠損による中等度の低下及びアゴニストによる著明な活性化が、高脂肪食負荷下で、両者とも脂肪細胞小型化をもたらし、インスリン抵抗性惹起分子であるTNFαやレジスチンの発現や遊離脂肪酸の血中レベルの低下と、エネルギー消費や脂肪酸燃焼を促進するインスリン感受性ホルモンであるレプチン・アディポネクチンの発現増加を促進することを明らかにした(Nature Medicine 7:941,2001;J.Biol.Chem.276:41245,2001)。この脂肪細胞小型化をもたらす治療法として、PPARγ活性の部分的阻害剤が、新規抗肥満、抗糖尿病薬となりうることを示した(J.Clin.Invest.108:1001,2001)。さらに、PPARγを含めた種々の転写因子の共役因子CBP(CREB binding protein)のヘテロ欠損マウスがPPARγヘテロ欠損マウスに比し、より顕著な抗肥満、抗糖尿病の表現型を呈することを見い出した。本マウスで認められるエネルギー消費とインスリン感受性のe楡チは、レプチン感受性の亢進と、アディポネクチンの増加と相関した。(Nature Genetics 30,221,2002)。このアディポネクチンの抗糖尿病作用機構として急性にはAMPキナーゼを、慢性にはPPARαを活性化し、脂肪酸燃焼などを促進して、組織内中性脂肪含量を低下させて、インスリン抵抗性を改善させていることを見い出した(Nature Medicine 8:1288,2002;J.Biol.Chem.278:2461,2003)。さらにこのアディポネクチン過剰発現がSRAやTNFαの抑制を介して動脈硬化を抑制することを示した(J.Biol.Chem.278:2461,2003)。
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