研究分担者 |
藤盛 啓成 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50238622)
小山田 尚 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (80302149)
土井 秀之 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90188839)
川岸 直樹 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (00333807)
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研究概要 |
【目的】本研究の目的は、心停止ドナー肝移植の成功に向け、選択的TNF-α,IL-1β産生阻害剤FR167653(FR)、強力なセリンプロテアーゼインヒビターであるnafamostat mesilate(NM)、ならびにplostaglandin E(PG)の肝温阻血再灌流障害における予防効果を検討した。【方法】A)ratを使用し、肝摘出再灌流実験を施行した。i)Heart beating群(HB群):心拍動下に肝摘出。6時間冷保存後再灌流。ii)Non-heart-beating群(NHB群):呼吸停止から心停止を誘導し、心停止下に肝摘出。6時間冷保存後再灌流。iii)NM投与群(NM群):NM投与後,NHB群と同様に肝摘出。冷保存後再灌流。iv)FR投与群(FR群):FR167653投与後,NHB群と同様に肝摘出。冷保存後再灌流。v)FR+NM投与群(FR+NM群):NM及びFR投与後,NHB群と同様に肝摘出。冷保存後再灌流。5群とも灌流時間は1時間としその後にサンプルを採取した。検査項目は、胆汁産生量、灌流液量、生化学検査、IL-1β,TNF-α,thromboxaneB2(TXB2),6-ketoPGF1α,leukotrieneB4,Cox-2,NF-κB, AP-1,病理組織(電顕、光顕)である。B)豚を用いて肝移植実験を行い、FR、MN、PGの効果を検討した。【結果】A)HB群と比し、NHB群でIL-1β,TNF-α,NF-κB, AP-1,TXB2,leukotrieneB4,Cox-2が有意に高く、FR+NM群ではNHB群に比し有意に低下した。病理所見でもFR, FR+NM群で肝類洞の微小循環障害が改善された。B)PGとFRの両者を投与することによって心拍動下肝移植と同等の生存率が得られた。【結語】心停止ドナーからの肝移植では、死戦期(温阻血期)におけるIL-1β・TNF-αの抑制およびアラキドン酸カスケードの抑制が重要であると考えられ、FR、NM、及びPGの療法は、屍体肝グラフトのコンディショニング法として効果がある。
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