研究課題/領域番号 |
13557122
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 伸哉 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70261287)
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研究分担者 |
赤城 剛 大阪バイオサイエンス研究所, 副部長 (90184077)
三浪 明男 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20133738)
澤 洋文 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30292006)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | クロマチンリモデリング / 滑膜肉腫 / 遺伝子治療 / SYT-SSX / hBRM / 癌化 / クロマチリンリモデリング / 癌遺伝子 |
研究概要 |
本研究は滑膜肉腫関連癌遺伝子SYT-SSXの癌化のメカニズムを解明するとともに滑膜肉腫モデルマウスを作成し、増殖抑制ペプチドを用いた遺伝子治療の基盤技術を確立することを目的としており以下の成果を得た。 (1)特許出願。これまでの研究成果に基づき、SYT-SSXとhBRMの結合を阻害する50アミノ酸領域の同定が、滑膜肉腫の遺伝子治療の基盤技術となることを示し、国内特許を出願した(発明者:田中伸哉、長嶋和郎名称:ヒト滑膜肉腫に対する遺伝子治療法、特願2002-050894)。 (2)レトロウイルスによる遺伝子発現。マウスに感受性をもつEnvと増殖抑制ペプチドhBRM156-205を発現するベクターをcotransfectionすることで、抑制ペプチドを発現するレトロウイルスを得ることができ、Envをヒトに感受性のあるものに変更することで、遺伝子治療のベクターとなりうることを確認した。尚、ヒト感受性ウイルスについては本研究の目的外であり、遺伝子組換え実験の承認をうけていないため施行していない。 (3)滑膜肉腫モデルマウスの作成。SYT-SSX1トランスジェニックマウスを作成。SYT-SSXの発現がLTR由来のプロモーターで制御されるベクターを導入したマウスを作成した。現在ヘテロの状態で6ケ月観察しているが腫瘍形成は認めていない。SYT-SSXが胎生致死の可能性も考慮し、テトラサイクリンにて発現誘導可能なマウスの作成のためTRE-SYT-SSX1マウスを作成した。現在rtTA発現マウス(Jackson Labより購入)との交配を行っていおり、今後の成果が十分期待できる状態である。 (4)SYT-SSXによる癌化のメカニズムの解析。滑膜肉腫に対する効果的な治療法を開発するために詳しい癌化のメカニズムを解析する過程で、SYT-SSX1がp21の発現を誘導し、特定の腺癌細胞では細胞増殖を抑制することを明らかにした。p53欠損HCT116細胞株(Bert Vogelstein教授より分与)を用いることで、SYT-SSX1によるp21誘導はp53非依存性であることが判明した。このことからSYT-SSXは単に増殖に正のシグナルを伝達するだけではなく、増殖に対する負の効果も有しており、細胞株によってそのバランスが生に傾いた時に癌化を誘導することが示唆された。
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