研究分担者 |
館野 誠 リオン株式会社, 聴能技術部, 次長(研究職)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50169728)
和田 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111264)
松木 英敏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134020)
舘野 誠 リオン株式会社, 聴能技術部, 次長(研究職)
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研究概要 |
本研究において提案する補聴器は,鼓膜に貼り付けた軽量なコイル(振動コイル)が永久磁石の磁界との相互作用で振動することにより,補聴効果を得るものである.従って,より大きな補聴効果を得るためには,振動コイルが発生する磁界の強さが重要な要素となる. そこで始めに,振動コイルに電流を供給するコイル(駆動コイル)について,その高効率化を検討した.ヒト外耳道の大きさ,およびアンプ回路に適合するインピーダンスおよびインダクタンスを考慮したコイルを複数試作し,高出力かつ低電力なコイルを決定した.その後,このコイルをマイクおよびアンプ回路からなる本体部分と組み合わせ,補聴システム全体を構築した. ヒトに試装する前に,十分な補聴効果が得られることを確認するため,人の中耳を模したモデルを製作し,それに,試作した補聴器を取り付け,増幅後の中耳の変位をレーザー振動計により計測することで補聴効果の評価を行った.その結果,以下のことが明らかとなった. 1.ヒトの会話音の大きさである60dB SPLの音圧を外部から与えた場合,増幅後の等価音圧は1kHz以下では80dB SPL程度,3kHz以上では100dB SPL程度となり,高周波数域では,耳の近くで大声を出せばようやく聞き取れるレベルである80dB HLの重度感音性難聴者に今回の補聴器が適用できることが明らかになった. 2.低周波数域では,重度難聴者には適用が難しいため,さらなるコイルの改良およびアンプ回路の改善が必要であることが示唆された.
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