配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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研究概要 |
癌細胞転移機構にケモカインが関与している。そこで、本年度は培養口腔扁平上皮癌細胞株8種類における各種ケモカインレセプターの発現と浸潤能の相関について検索した。各種ケモカインレセプター(CXCR1,2,3,4)の発現をmultiplex RT-PCR法、Western Blot法にて検索したところ、HSC2,HSC3,Ca9-22細胞にのみCXCR4 mRNA,蛋白の発現を認めた。CXCR4発現株HSC3細胞ではCXCR4のリガンドSDF-1で処理することによりERK1/2,Aktの活性化を認めた。CXCR4発現細胞をSDF-1で処理することにより細胞の運動能の亢進がみられた。さらにMatrigel chamberを用いた浸潤能の検討ではSDF-1はCXCR4発現細胞の浸潤能を亢進させたが、その浸潤能はPI3 kinase阻害剤にて抑制された。次に口腔癌90例におけるCXCR4の発現と臨床病理学的因子との関連を検討したところ、T分類、腫瘍分化度、腫瘍浸潤様式に関しては、いずれも有意な関連は認めなかったものの、リンパ節転移において有意な相関(p=0.003)が認められた。以上より口腔扁平上皮癌のリンパ節転移には、SDF-1/CXCR4シグナルが関与し、PI3 kinaseの特異的な阻害による口腔扁平上皮癌のリンパ節転移抑制の可能性が示唆された。 次に、血管新生因子における本年度研究では、口腔癌におけるVEGFファミリー(VEGF-A,B,C,D)の発現とリンパ節転移における意味について、臨床材料における臨床病理学的な関連から明らかにした。口腔癌組織における免疫組織学的検討では、VEGF-A,B,C,Dは98例中、各59例(60.2%)、61例(62.2%)、66例(67.4%)、54例(55.1%)に発現を認め、VEGF-A,B陽性例で、有意に腫瘍内血管密度が高く、VEGF-A陽性例ならびにVEGF-D陰性例で、高・中分化型が多く認められた。また、VEGF-C,D陽性例で頸部リンパ節転移が多く認められ、この関連は、RT-PCR法による腫瘍組織のmRNAレベルならびに蛋白レベルでも確認された。
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