研究分担者 |
坪井 佳子 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (50325122)
樋口 義信 中外製薬株式会社, 創薬第二研究所, 主査(研究職)
岩本 容泰 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30223431)
藤木 辰哉 岡山大学, 歯学部附属病院, 助手 (20322232)
YOSHINOBU Higuchi Chugai Pharmaceutical Co. Ltd., Researcher
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研究概要 |
古くより歯科矯正学では歯の移動を矯正力という力の作用で行うことを唯一の治療基盤としてきたが,副作用として歯根吸収が発現すること,さらに,長期にわたる治療期間,審美性,疼痛,装置の複雑さ,口腔衛生管理の面からも,この方法だけでは限界がある。従って,力のみに頼らない生物学的,生理的な歯の移動,固定,保定方法の確立が期待される。 1.歯の人為的移動後の後戻りについて。 後戻り時圧迫側となる歯槽骨において対照群および後戻り量に抑制効果のなかった1,25(OH)_2D_3投与群では破骨細胞および吸収がみられ骨吸収様相を呈したが、後戻り量を抑制した24,25(OH)_2D_3,TGF-β1投与群では破骨細胞がほとんどみられず骨芽細胞による活発な骨形成様相を呈した。24,25(OH)_2D_3,TGF-β1投与群では、対照群に比べ後戻り時の圧迫側で単位骨量および分画活性形成面が増加し、分画活性吸収面および平均破骨細胞数が減少した。牽引側では単位骨量および分画活性形成面が増加し、平均破骨細胞数が減少した。一方、24,25(OH)_2D_3投与群では骨形態計測値には有意差が認められなかった。 2.Drug delivery systemの開発。 まず遺伝子導入の条件設定を行った.非ウイルス性のHVJ-リポソーム法がアデノウイルスベクター法に比較し,将来的に臨床応用が可能と考えられることから,HVJ-リポゾーム法を用いて遺伝子導入を検討することとし,ラットあるいはマウスの実験的歯の移動モデルにおけるHVJ-リポゾーム法の至適条件を検索した. (1)in vitro ラット骨髄から採取した未分化間葉細胞に対して,ルシフェラーゼ遺伝子を導入し,ルミノメーターにて計測し,導入効率について検討した.(2)in vivo ラットにおいて実験的歯の移動を行いβ-galactosidase遺伝子(LacZ)をHVJ-リポソーム法にて遺伝子導入した.この結果からHVJ-リポソーム法を用いた遺伝子導入が,実験的歯の移動モデルに応用可能であることが明確となった. 3.HVJ-リポソーム法を用いてCTGFの遺伝子導入を試みた.CTGF発現効果を検討するために,ラットの歯の移動群と対照群にCTGF遺伝子を導入した.1,3,5,7,15日後に上顎骨を取り出し,in situ hybridization,及び免疫組織化学的にCTGFの発現と局在を確認した。
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