研究分担者 |
岡部 秀彦 産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門, 主任研究員
渡辺 澄子 松坂大学短期大学部, 生活科学科, 教授 (90071141)
今岡 春樹 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (00223321)
乾 滋 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10356496)
庭屋 晴夫 産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門, 主任研究員
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研究概要 |
平成14年度の研究成果は次の通りである。 1.非接触三次元次元人体計測器による成人女子の自動計測と体表曲面の三角メッシュによる定構造化 昨年度メーカーと協力して開発した非接触3次元人体計測器を使用して,青年女子85名の3次元全身を約10秒で計測可能であること確認し,シュミレーション表示,胴部近似体表曲面の定構造三角メッシュによる自動生成,3つの曲率算出までの一連のソフトを開発,システム化を図った。なお,基準点の自動抽出などの計測精度や計測用下着の開発の必要性などの問題が残り,データ使用可能なモデルは85名のうち58名に留まった。 2.成人女子の三次元次元胴部体表面形状の抽出 58名の3次元胴部体表曲面(側部を除く)の三角頂点での点集中のガウスの曲率・測地的曲率・平均曲率を1.の計測データから自動的に算出し,領域に分けて曲面形状の特徴を把握,三次元胴部体表面上に曲率値に対応したカラーのグラデーション表示をして視覚的な体形把握も可能とした。 3.衣服着装シミュレーションでの衣服選択支援システム構築のための評価対象のデザイン服の選択 昨年度分類したデザイン服選択用の10のイメージ用語を用いて,デザイン服(写真)60体のイメージについて5段階評価を行ない,さらに各服のイメージ決定デザイン要素についても5段階評価を依頼した。回答者は若年女子50名である。デザイン服のイメージ評価の主成分得点を用いてクラスター分析を行ない,デザイン服を大きく3つのイメージに分類した。各服のイメージとデザイン要素による判別分析を行ない,3つのイメージを70%〜90%の精度で判別・予測可能な式を導いた。各イメージの評価の高いデザイン服の型紙を作成,三次元着装シミュレーションによるデザイン服選択のための服とイメージ用語を構築した。今後,多数のデザイン服でのイメージ評価と分類を実施し,また評価方法および分類についても研究課題(そのII)で検討を重ね,仮想上のデザイン服でのイメージ評価を実施する。 本年度は,非接触三次元人体計測器による人体計測から体表曲面形状の把握のためのシステム構築と消費者へのイメージ用語によるデザイン服提示のための予測について,基礎的な部分ではほぼ成果が認められた。しかし,非接触三次元人体計測器の機器調整とソフト開発が研究者に大きく依存される現状があり,そのためのシステム開発には大きな課題が残された。本機器を生かすためにはさらに機器の整備と年代別のモデルによる体形とデザイン評価の研究は必須である。今後,デザイン選択支援から3次元デザイン服の自動立体裁断などへとさらに発展したい。そのための研究費補助を必要としている。
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