研究概要 |
本研究では、申請者らが平成11〜12年度科学研究費補助金・基盤研究(C)で得たリアルタイムキネマティック(RTK)-GPSの短時間測量による地盤変動の高精度測量の成果をもとに,従来申請者が提唱している「斜面定期健康診断」を実用化するためのRTK-GPS測量に関するデータ取得,技術開発および機器・ソフト開発を行った. (1)現場でRTK-GPSによるデータを受信機からのデータを取り込む手順を決定し,前回の観測データと比較をするための表示・編集プログラムの仕様を検討した.さらにディスプレイ分離型のPC上で動作し,片手で持つことが出来る640×480のディスプレイ上で現場でリアルタイムにデータを表示,評価できるシステムを開発した.これは,1秒毎に受信機から出力されるアンテナの水平面上の座標を表示すると共に東西,南北,上下方向のヒストグラムをリアルタイムに表示し,精度評価・編集を行い,過去の観測データと比較して地盤の変位ベクトルを抽出するものである.このソフトウェアは研究分担者によって実用化されRTK-GPSユーザーに利用されている. (2)研究代表者らの前年度までの基盤研究(C)(2)において試作し特許を出願した自動三脚は,13年度に関西TLOを通し独占的実用化ライセンスを(株)丸東製作所に与え,平成16年に発売予定である. (3)高知県・怒田地すべり地,徳島県善徳地すべり地,新潟県沖美地すべり地の三カ所の試験地において繰り返し観測を実施し,伸縮計,孔内傾斜計,光波,善徳においてはGPS連続静止測量の結果との比較を行ったところ,良好な結果を得た.特に怒田地すべり地では側方境界付近で微分的な運動を示していることがわかった.
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