配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2003年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
現在,ポストゲノム時代における重要な研究課題として細胞内外に作用する分子の働きを,機能しているその場で解明することが挙げられるようになった.この目的のため,細胞内分子と特異的に反応して可視化することができる機能性分子をデザイン・合成し,生物応用を行った. 【レシオイメージングを可能とするFRET型センサー分子】異なる2波長での蛍光強度を測定しその比(レシオ)を検出するレシオ測定法は,蛍光プローブ自身の局在や濃度変化等の影響を減じることができるため,イメージングを行う際に有用な測定法である.レシオ測定を可能とする手法の1つにFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)が挙げられる.本研究では、重なり積分変化によってFRET効率を変化させる手法を新規に提案し,タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)を標的としたセンサー分子の開発を行った.PTPは,細胞機能(分化,増殖,癌化,神経機能)に関与すると報告されているが,活性調節機構に関して不明な点が多く生理的条件下でのPTP活性検出法が求められていた.FRETにおいて,ドナーの蛍光とアクセプターの吸収の重なりの大きさ(重なり積分)は,エネルギー移動効率を規定する因子の一つである.今回,Fluoresceinが2つのコンフォメーション(lactone型とquinoid型)をとることに着目して,重なり積分変化をスイッチとする新規設計法を考案し,PTP活性蛍光センサーをデザイン・合成した.感度・酵素との親和性ともに優れていたセンサー分子をレシオイメージングに適用した結果,生細胞におけるPTP活性を直接検出することが可能となり,正常細胞の接触状態に依存するPTP活性上昇を初めて捉えることに成功した.さらに,アラキドン酸代謝経路より産生される活性酸素種がPTP活性の調節因子となっていることが示された.
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