配分額 *注記 |
11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2001年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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研究概要 |
1.リゾチームのSS結合をすべて欠くOSS変異体は沈降定数17Sでベータシート構造を持つ会合体を形成する。会合が進行すると、週から月のオーダーでアミロイドフィブリルが形成される。この場合、特定の構造が壊れた変性中間体がアミロイドフィブリル形成に必須ではなく、変性状態の単量体がベータシート構造形成と共役して会合し、それが伸長してアミロイドフィブリル形成に至る。 2.アミロイドフィブリル形成の前駆体である17S会合体は数百から千バールの圧力下で可逆的に解離する。その安定性ならびに解離にともなう分子体積減少は、モノメリックユニットあたり、23kJならびに53mLである。HSQCピーク強度の圧力による消長より、前駆体への会合には疎水性残基が優先的に関与することがわかった。 3.カリフォルニア大学との共同によりハムスタープリオンで立体構造が部分的に破壊された構造を残基レベルで観測した。その構造ではB,Cヘリックスが相対的に不安定であり、CヘリックスとS1/S2界面が壊れやすい。この励起構造が病原性スクレイピー構造に到る中間体であると考えられる。また、フォックス・チェイス癌センターとの共同により、マウスプリオン部分ペプチドがアミロイドを形成することを示し、水素-重水素交換および分子動力学シミュレーションによりその構造特性を明らかにした。 4.プリオンについて、高圧NMRで求められた残基レベルでの熱力学的安定性と,CPMG分散法によって求められた常圧下でのミリ秒領域の遅い揺らぎが一致した。これは,高圧NMRで観測される励起中間体PrP*が,生理学的条件での遅い揺らぎによってプリオンが到達できる構造であることを示す。遅い揺らぎの特に大きい部分にはキャビティーが存在し,ここに結合する薬物を探索することにより,治療薬を開発できる可能性が強く示唆された。
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